大阪大入試ミス 教訓くみ取り根絶に万全を

1月13日 09:11

 大阪大は、昨年2月に実施した入試で工学部や理学部の一部学科などの必須科目だった物理の出題と採点にミスがあり、本来なら合格していた受験生30人が不合格となっていたと明らかにした。30人は他大学に在学したり浪人して予備校に通ったりしており、ほかに9人が第2志望の学科に入学していた。結果の重大さを考えれば、あってはならないミスである。

 大阪大は「受験生の将来に極めて大きな影響を及ぼした」と謝罪し、30人を追加合格させた。希望者には今年4月の入学を認め、他大学から2年生への転入や予備校費用の補償、第2志望から第1志望の学科への移籍などの対応を進めるとしている。

 しかし、遅きに失したと言わざるを得ない。追加合格によって入学が認められたとしても、本人や家族には割り切れなさが残ろう。精神的なケアも含め、対象者がこれ以上不利益を被らないよう、大学はそれぞれの意向を丁寧に聞き取り、救済に努めるべきだ。その上で、ミスの背景や事実関係の究明を進め、再発防止を徹底してもらいたい。

 ミスがあったのは物理の音波に関する二つの問題。最初の設問で三つの正答があるのに、一つのみを正解とした。次の設問はこの解答を前提に作成されていたため、別の二つの解答では正解を求められなかった。

 ミスも問題だが、さらに深刻なのは、早い段階で外部から誤りを指摘されていながら認めなかったことだ。

 昨年6月に高校教員らでつくるグループのメンバーから、さらに8月には予備校講師からメールでミスの指摘があったが、問題作成責任者の理学部教授と副責任者の2人だけで検討し、「誤りはない」と説明していた。出題ミスが判明したのは12月になってから。詳細な説明を添えた3回目の指摘が外部から寄せられ、別の教員4人も加わり検討した結果、誤りが分かった。

 漏えいなどの恐れもあり、入試問題の作成が厳しく管理されているのは分かるが、ミスの情報をもっと早く大学内で共有し、調査に動けなかったのか。迅速に徹底した調査がなされていれば、対象者への早期の救済措置も可能だったのではないか。

 入試は受験生の一生に関わる重大事だが、大学側のミスは後を絶たない。山形大では2001年、国語の配点ミスが判明し、さかのぼって調査したところ、5年間で計428人が誤って不合格とされていた。富山大でも同じ年、過去に合否判定プログラムのミスで計16人が不合格となり、大学側が2年間も隠蔽[いんぺい]していたことが発覚した。

 今日から大学入試センター試験が始まり、本格的な受験シーズンに突入する。入試の際のミスは他大学にとっても、決してひとごとではなかろう。全ての大学が今回の件を「他山の石」として教訓をくみ取り、ミス根絶に万全を期してもらいたい。