南北当局間会談 緊張緩和へ具体的行動を

1月10日 09:14

 2年1カ月ぶりに開かれた会談は、朝鮮半島の緊張緩和につながるのだろうか。

 韓国と北朝鮮は9日、南北軍事境界線上の板門店[パンムンジョム]の韓国側施設「平和の家」で、南北当局間会談を開いた。代表団の首席代表は韓国側が趙明均[チョミョンギュン]統一相、北朝鮮側は対韓国窓口機関、祖国平和統一委員会の李善権[リソングォン]委員長と、ともに閣僚級。来月開催される韓国・平昌[ピョンチャン]冬季五輪への北朝鮮の参加問題が主な議題だった。

 会談で北朝鮮は平昌五輪参加を正式表明。両国は五輪成功のため積極協力し、北朝鮮が高官級代表団や選手団を派遣することなどを盛り込んだ共同報道文を採択した。報道文には、軍事的緊張を解消しなければならないとの見解で一致し、これに向け軍当局間会談を開催することも盛り込まれた。

 今回の会談が実現したのは、北朝鮮の金正恩[キムジョンウン]朝鮮労働党委員長が年頭に行った施政方針演説「新年の辞」で、平昌五輪に代表団派遣の用意があると述べ、南北関係改善への意欲を表明したことがきっかけだ。韓国は北朝鮮の対話姿勢を評価し、高官級協議の早期開催を提案。北朝鮮も、2年近く断絶していた板門店に設置されている南北の直通電話回線による連絡チャンネルを復活させた。

 こうした北朝鮮の出方は、もともと昨年5月の政権発足当初から南北対話を呼び掛けていた韓国の文在寅[ムンジェイン]大統領が待ちわびていたものだ。北朝鮮情勢を巡る当事者でありながら、これまで存在感が希薄だった韓国が高揚感を抱くのも理解できなくもない。

 しかし、南北対話に関し、韓国は昨年7月に軍事会談と赤十字会談を北朝鮮に提案していた。半年近くこの提案を無視し続けてきた北朝鮮が、なぜ平昌五輪開幕を1カ月後に控えた時期に対話攻勢を仕掛けてきたのか。韓国は、その理由を冷静に考えるべきだろう。

 日米韓の連携や米韓同盟にくさびを打つだけでなく、韓国を取り込むことによって、トランプ米政権が北朝鮮への軍事的行動に踏み切らないようけん制する狙いはないのか。さらに、国際的な圧力包囲網に風穴をあけ、制裁一辺倒からは距離を置く中国やロシアに韓国を加えて「対話陣営」を構築し、トランプ政権に交渉を迫ろうとしているのではないか。

 金委員長は「新年の辞」で韓国に関係改善を訴える一方、核弾頭や弾道ミサイルの量産化と実戦配備の方針を打ち出し、核開発路線から一歩も引かない立場を鮮明にした。韓国がそうした状況を放置したまま関係修復を急ぐのならば、核を保有した北朝鮮と共存しようとするつもりなのかと疑われてもやむを得まい。

 平和の祭典とされる五輪に北朝鮮が参加することは歓迎すべきだろう。しかし、北朝鮮の真意を読み解かなければ真の緊張緩和は達成できまい。朝鮮半島の非核化という国際社会の一致した目標を実現するためにも、韓国は毅然[きぜん]とした態度を保ち、北朝鮮に具体的な行動を取らせるべきだ。