最少の出生数 社会の在り方見直す時期だ

1月7日 09:23

 少子化の加速に歯止めがかからない-。厚生労働省が昨年12月に公表した人口動態統計の年間推計によると、2017年の出生数は94万1千人とみられ、2年連続で100万人を割り込む見通しとなった。

 1899年以降最少だった前年より一気に約3万6千人も減少している。専門家からは「少子化のペースは想定以上に速い」との指摘もあり、政府は現状への危機感をもっと持つべきだ。

 出生数の大幅減について、厚労省は「主な出産世代である25~39歳の女性の人口が減っているのが大きな要因」と分析する。第2次ベビーブームの団塊ジュニア(1971~74年生まれ)は40代半ばに差しかかり、出産適齢期の女性人口は減少が続く。経済的不安や仕事との両立への不安などから、晩婚・晩産の傾向も続いており、政府が目指す「25年度末までに合計特殊出生率1・8」の実現は極めて困難な情勢だ。

 一方、死亡数は増加している。17年の推計は戦後最多の134万4千人で、前年から約3万6千人増えた。死亡数から出生数を引いた人口の自然減は前年から約7万2千人増え、過去最大の40万3千人となった。自然減は07年から11年連続となり、減少幅も拡大の一途をたどっている。研究者には、「中核市クラスの自治体が消えていくような状況が、今後も続くのでは」と懸念する声がある。

 過去の少子化対策が後手に回っていたことは否めないだろう。急速な人口減少は、経済規模の縮小を招き、社会保障制度が揺らぎかねない。現状を「国難」と位置付ける安倍晋三政権は少子化対策を看板政策に掲げ、18年度予算に約2兆円を盛り込み、待機児童解消に向けた保育の受け皿確保、幼児教育・保育の無償化などを目指す。しかし「無償化よりも待機児童対策が急務」との訴えが相次ぐなど、子育て現場のニーズとのずれも目立つ。

 誰もが安心して出産することができ、子育てができる社会をどう実現するのか。これまでの少子化対策を質と量、スピードの面から検証し、財源問題にも真摯[しんし]に向き合い、実効性のある施策を先行させることが求められている。

 少子化問題の背景にある状況を多角的に分析し、改善していく取り組みも重要だ。待機児童問題が深刻な東京への若者集中や地方での仕事確保、賃金格差是正や長時間労働の解消など、子育てをめぐる環境を見直し、息の長い取り組みを続ける必要がある。

 国立社会保障・人口問題研究所は、約50年後の人口は約8808万人まで減り、年間の出生数も現在の半分近い55万人程度と推計する。将来的に出生数の劇的な改善が望める状況にはない。

 労働力の減少に対応するために生産性をいかに向上させるのか。今後も持続可能な社会保障制度とはどんなものなのか。政府は人口減や超高齢化を前提とした社会の在り方を示し、そのための施策を打ち出す時期を迎えている。