ロシア平昌五輪除外 「国ぐるみ」への強い警告だ

12月7日 09:11

 国際オリンピック委員会(IOC)は、国主導でドーピング工作を進めたとしてロシア・オリンピック委員会を資格停止処分とし、来年2月の平昌[ピョンチャン]冬季五輪から同国選手団を除外することを決めた。

 併せて、ソチ冬季五輪での薬物使用を指導したと疑われながら、一貫して「国家主導の不正はなかった」と関与を否定してきた当時のロシアスポーツ相、ムトコ副首相を五輪から永久追放した。

 スポーツ担当相は、五輪運動を主導するIOCの権限が及ばない存在と考えられてきただけに、この制裁にIOCの強い決意が表れていると言えよう。

 陸上競技を中心に、ロシアでドーピングが広範囲に行われていると、ドイツの公共テレビが衝撃的な調査報道をしたのは3年前。そこから、世界反ドーピング機関(WADA)が調査に乗り出し、ロシアにとって自国開催だったソチ冬季五輪での不正の疑いも、揺るぎないものとなった。

 にもかかわらず、IOCは昨年のリオデジャネイロ五輪直前の理事会では、全面的な参加差し止めとはせず、参加の容認、差し止めの判断を陸上や水泳など国際競技連盟の個別の決定に委ねた。

 ロシアの薬物使用は反ドーピング運動に対する国家による挑戦にほかならないとして、リオ大会の全面的な参加差し止め処分を下した国際パラリンピック委員会とは対照的で、IOCは弱腰だと批判を受けた。

 IOCはその後、調査委員会による具体的な証拠集めを加速。自信を持って断固とした制裁処分を打ち出した形だ。ムトコ氏の指示に従っただけかもしれないが、ロシア五輪委のジューコフ会長もIOC委員の資格停止とした。

 一方で、IOCはロシアの冬季競技の選手が平昌五輪に参加することは差し止めなかった。「クリーンな選手の保護」を最重要課題に掲げる手前、厳しい条件をクリアして潔白を証明した選手は個人資格での参加を容認した。

 今回の決定で注目されるのは、資格停止とした国内オリンピック委員会の選手に五輪出場を認める場合、従来は「独立した五輪選手」の名称で、国名の付かない純白の競技ウエアで出場することと決めていたが、今回は「ロシアからの五輪選手」の名称を付けたユニホームの着用を認めた点だ。

 国旗や国歌の使用を認めない上に、ロシア選手と名乗ることも許さないとなれば、ロシア国民からの強い反発は避けられないとの政治的判断が見て取れよう。

 この決定は、反ドーピング運動にとって間違いなく大きな前進だ。同時に、政治の介入を許さない五輪運動を正しく理解し、その運動を支援すべき国家が、国内オリンピック委員会の頭越しに選手強化に手を突っ込むことに強い警告を発したことになる。

 選手のメダル獲得によって、国民を喜ばそう、政権の人気拡大に結びつけようなどと考えることは大きな間違いだと、IOCは声を上げたとも言えよう。