日馬富士関の暴行 ファンの期待裏切る行為だ

11月15日 09:23

 品格が求められる最高位の力士の不祥事だけに、その衝撃は計り知れない。

 モンゴル出身の横綱、日馬富士関が10月の秋巡業中、酒席で同じくモンゴル出身で平幕の貴ノ岩関とトラブルとなり、大けがを負わせていたことが分かった。

 スピード感、闘争心あふれる相撲で人気を集める日馬富士関。けがに苦しみながらも、先場所は逆転で9度目の優勝。この九州場所も活躍が期待されていただけに、驚いたファンが多かったろう。ただ、いかなる理由があっても暴力は許されない。土俵上の熱戦を期待するファンを裏切る行為だ。

 角界では過去にも暴力行為が繰り返され、体質が問われてきた。今回の事件はその連鎖が断ち切れていないことを示しているとも言えよう。日本相撲協会は厳しく対処するとともに、徹底した再発防止策を講じる必要がある。

 協会関係者によると、日馬富士関は10月26日夜に鳥取県内であったモンゴル出身力士の会合で、感情のもつれから貴ノ岩関にビール瓶などで暴力を振るったとされる。貴ノ岩関は頭部の裂傷、骨折などと診断され一時入院。九州場所は初日から休場した。

 日馬富士関は14日、「深くおわび申し上げます」と謝罪。九州場所3日目からの休場を届け出た。

 相撲協会幹部は九州場所を開催中の福岡国際センターで緊急会合を開催。危機管理委員会による調査を実施すると発表した。両力士の師匠である伊勢ケ浜親方と貴乃花親方からも事情を聴き、貴ノ岩関の師匠の貴乃花親方は10月下旬に鳥取県警に被害届を提出していることを明らかにした。

 角界ではこれまでも不祥事が相次いだ。大きな衝撃を与えたのは2007年、時津風部屋で起きた力士暴行死事件だ。暴行した4人は傷害致死容疑で逮捕され、元親方が実刑判決、兄弟子3人も執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 10年には横綱朝青龍が泥酔して男性に暴力を振るったとされ、責任を取るかたちで引退。15年には宮城野部屋の熊ケ谷親方がマネジャー男性への傷害罪で起訴され相撲協会から解雇処分を受けた。

 力士の大麻所持や野球賭博、八百長疑惑など、社会人、スポーツマンとしての常識を疑わせるような事態も記憶に新しい。

 今回の問題では、日本相撲協会幹部の対応はあまりにお粗末だった。関係者によれば、騒動は角界内部で一気に広まったが、九州場所初日を翌日に控えた11日の臨時理事会では議題はおろか、話題にすら上らなかったという。もし「事を荒立てたくない」との思惑が働いていたとすれば、それこそファンの信頼に背を向ける行為だ。そうした内向きの姿勢が、旧態依然とした体質を温存させる結果となっているのではないか。

 若手力士の台頭、親しみやすいサービスなどで、相撲人気は一時の低迷からV字回復を果たした。そうした努力を無駄にしないためにも、相撲協会は厳正で徹底的な調査を行う必要がある。