公文書管理新指針 恣意的運用避けられるか

11月14日 09:09

 行政の透明性を図る上で、公文書の適正な管理は欠かせない。政府や役人による裁量といった、恣意[しい]的な運用が入り込めないシステムが求められる。

 森友、加計学園問題で批判を受けた行政文書管理を巡り、政府は、有識者による公文書管理委員会に新たなガイドライン案を提示した。行政の意思決定過程の検証に必要な文書は「原則1年以上」保存すると明記。「保存期間1年未満」に指定できる具体例も示した。政府は委員会の意見を踏まえ、年内に新ガイドラインを決める方針だ。

 新ガイドライン案は、重要文書の保存期間を「原則1年以上」と規定したことについて、国民への説明責任を全うするためと強調。焦点となった「保存期間1年未満」の扱いについては、分類できる例として(1)職員間の日常的・定期的な業務連絡や日程表(2)新聞の写しなど出版物・公表物を編集した文書-など七つを挙げた。

 「1年未満」に分類できる文書を具体的に例示したのは評価できよう。しかし判断するのはあくまで「身内」の府省庁職員。外部のチェック機能は働かず、実効性をどこまで担保できるか疑問だ。

 森友学園への国有地売却問題では、財務省が交渉記録の文書を、廃棄が許される「1年未満」に分類して破棄し批判を浴びた。その反省に立てば、何らかの形で第三者がチェックし、恣意的運用を排除する歯止め策が必要だ。

 気掛かりな点はまだある。新ガイドライン案では、政策立案や事業実施に影響する各府省庁内や外部との打ち合わせ記録を行政文書として作成し、可能な限り出席者に発言内容を確認して「正確性の確保を期する」とした。一方で、どんな文書を行政文書に認定するかに関しては「文書の利用状況などを踏まえ、総合的に判断される」とも記述している。

 加計学園問題では「総理の意向」などと書かれた記録文書に関し、文部科学省が「行政文書としては存在しない」とした。約1カ月後に文書を公表した際も「通常公表しない個人メモ」と主張し、批判が集中した。

 複数の府省庁や外部との協議を通じて一方に不利な情報が削除される恐れや、一連の手続きが煩雑になり、職員が文書作成を敬遠するケースも想定される。検証に必要な記録が行政文書と認められず「個人メモ」として破棄される可能性もあろう。

 安倍政権は国の安全保障に関わる情報を特定秘密に指定し保全する特定秘密保護法を成立、施行させるなど情報統制を強めている。たとえ国民にとって重要な情報であっても、役所が政権の意向を忖度[そんたく]して隠したり、捨てたりする懸念が拭えない。

 官僚機関が情報を公開せず独走すれば、行き着く先は「監視のない政治主導」となろう。それがもたらすのは放漫な無責任政治か、独裁政治となりかねない。本来なら公文書管理法の改正が必要な重要課題だ。