内定率大幅下落 氷河期再来避ける努力を

11月22日 08:29

 新型コロナウイルスの影響が大学生の就職活動にも大きな影を落としている。第二の「就職氷河期」をつくらぬよう、官民挙げた努力が必要だ。

 文部科学、厚生労働両省が調査した来春卒業予定で就職を希望する大学生の内定率(10月1日時点)は前年同期比7・0ポイント減の69・8%にとどまった。リーマン・ショック後の2009年の7・4ポイント減に次ぐ下落。この時期として5年ぶりに70%を割り込み、「売り手市場」は激変した。

 コロナ禍で、学生は例年とは異なる就職活動を強いられた。大学は閉鎖され、就職説明会の中止も相次いだ。情報収集や相談の機会が減り、企業との面接はオンラインに。対面の空気感が分からない状況で、いかに自分の個性や仕事への情熱を伝えられるか、そんな悩みや戸惑いを抱える学生も多い。一方、大学側も帰省した学生と連絡が取れず、十分に支援できない事情もあるようだ。

 専門技能を学ぶ専修学校の内定率は14・9ポイント減の45・5%と、さらに深刻だ。航空や観光関連企業への就職が多いという県内の外国語系専門学校の担当者は「例年と比べて求人自体が半分ほどしかない」と厳しさを語っている。

 コロナ禍で企業の業績は観光、運輸、飲食などを中心に落ち込みが激しい。ここへ来てようやく、自動車や「巣ごもり需要」に応じた電機や食料品の一部で持ち直しつつあるが、設備投資は低水準のまま推移しており、先行きの不透明感はぬぐえない。

 厚労省によると、大学生の採用内定取り消しは判明しているだけで159人。新型コロナウイルス感染拡大に関連した解雇や雇い止めは、見込みを含めて7万1千人を超える。

 90年代半ばから約10年間続いた「就職氷河期」に社会に出た世代は、就職できなかったり非正規雇用を続けたりして不安定な収入に今なお苦しむ人が多い。経済的な理由で若い世代の結婚や子育てといった将来設計が難しくなれば、社会にとってゆゆしき事態である。氷河期の再来は絶対に避けなければならない。

 業績悪化が長引く中、新卒採用に慎重になる企業側の心理は理解できる。だが、長期的な企業展望を考えれば、採用抑制は得策とは言えまい。むしろ、将来の飛躍のために優秀な人材を獲得する好機と捉える発想の転換が求められるのではないか。20日、熊本市で開かれた熊本地方労働審議会でも、採用に積極的な地場企業があることが紹介された。

 政府はコロナ対応で、卒業から3年以内を新卒扱いとするように経済団体に求めている。企業側には要請を受け止め、採用活動の継続や柔軟な対応を取り入れてもらいたい。

 厚労省は全国56カ所の「新卒応援ハローワーク」に特別相談窓口を設けた。国が中心となって産学と連携し、雇用の掘り起こしや、学生と企業とのマッチング支援を主導してほしい。