第3次補正予算 真に必要な対策見極めて

11月12日 07:30

 菅義偉首相は10日、追加経済対策の策定を関係閣僚に指示した。その裏付けとなる2020年度第3次補正予算案は、21年度当初予算案と一体的な「15カ月予算」として12月に編成される。

 国内における新型コロナウイルスの新規感染者は、11月に入って増加に転じており、日本経済は再び縮小しかねない状況だ。疲弊した経済を早期に成長軌道に乗せ、国民一人一人の暮らしを再び安定させるためには、実効性のある対策を間断なく講じる必要がある。

 とはいえ、2度の補正で新規国債の発行は90兆円を上回った。財源となる税収は落ち込みが避けられず、今度も国債の追加発行は必至だ。厳しい財政状況を念頭に置き、真に必要な対策を見極めてもらいたい。

 追加対策は、(1)新型コロナ感染の拡大防止(2)ポストコロナへ経済構造の転換(3)防災、減災、国土強靱化[きょうじんか]に向けた安全、安心の確保-の3本柱となる方向だ。

 言うまでもなく、肝心なのは対策の中身だ。現行のコロナ対策を十分検証し、支援が行き届かず取り残される人が出ないような対策をまとめる必要がある。

 しかし、与党内では「最低でも10兆~15兆円」「30兆円ぐらいあってもいい」といった声が先行。国土強靱化についても「5カ年で15兆円」などといった規模ありきの議論が進んでいるようだ。来年秋までに実施される衆院選を意識した振る舞いとみられても仕方あるまい。

 一方で、企業の雇用維持を支える雇用調整助成金は、特例措置を21年1月以降も継続するが、段階的に縮小するという。コロナ関連の解雇や雇い止めは7万人を超え、落ち着く気配はない。厳しい状況下でも、雇用対策の縮小には慎重であるべきだ。

 コロナ後の成長に向けた戦略も打ち出す必要があろう。菅首相は地球環境に配慮した「グリーン成長」を起爆剤とする考えを示している。温室効果ガス排出量の「50年実質ゼロ」を10月に宣言しており、その達成と企業活動の相乗効果を狙うとみられる。

 環境分野の需要は、国内だけにとどまらない。世界各国が脱炭素化を表明しており、米大統領選で勝利宣言したバイデン氏も日本と同様の目標を掲げている。環境投資は今後、米欧を中心に拡大するとみられる。日本企業がその受け皿となるよう、技術開発やコスト改善を後押しすべきだ。

 コロナ禍で遅れが浮き彫りになったデジタル改革も加速させる。内閣府がまとめた20年度の経済財政白書は、デジタル化への投資を通じて「新たな日常」を定着させながら内需を喚起することを提言した。働き方改革と生産性向上を両立させる上でも欠かせない視点と言える。

 白書は、デジタル化に必要なIT人材の7割超がIT産業に集中する現状も指摘した。特に地方の中小企業がデジタル化の波に乗り遅れないよう、人材のさらなる確保・育成にも注力してほしい。

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