コロナ特措法改正 早急に臨時国会で議論を

8月3日 08:08

 政府は新型コロナウイルス対策の特別措置法の改正を検討するとしつつも、臨時国会の開催には二の足を踏んでいる。感染者は全国で再び急増しており、対応に時間的な余裕はない。すぐに改正に向けた手続きに入るべきで、そのためには国会を開く必要がある。法改正による私権の制限強化を適正な範囲内にとどめるためにも、丁寧な国会審議は欠かせまい。野党は早期開催を要求しているのに、政府はなぜ応じないのか。

明らかな増加局面

 新型コロナの感染者は7月以降、明らかな増加局面にある。東京、愛知、大阪、福岡など大都市で軒並み過去最多を更新。全国では連日千人を超え、熊本県内でも飲食店などでクラスター(感染者集団)が発生した。

 だが、政府は特措法に基づく緊急事態宣言の再発令には否定的だ。重症者が少ないことなどを理由に「4月の宣言時とは状況が異なる」としている。

 このため、各都道府県は独自の判断で、飲食店に休業や営業時間の短縮を要請し始めた。いずれも事業者に協力金を払うことにしている。とはいえ、要請に強制力はなく、感染抑止に十分な効果があるかも分からない。

強制も補償もなし

 現行の特措法は、緊急事態宣言を発令するのは首相、各種要請を出すのは知事の権限としている。

 45条は、緊急事態宣言が発令されれば知事が店舗や個人に休業や外出自粛を要請・指示することができると規定。従わない場合は店名などを公表できるとしている。また24条は、知事は宣言なしでも団体や個人に協力を要請できると定めている。ただ、要請や指示に強制力はなく、事業者らが従わなくても罰則はない。休業への補償も明文化されていない。

 さらに、政府は4月の宣言発令後、知事が休業要請をする際には「事前協議」を求めており、両者の権限や役割分担もあいまいになっている。

 全国知事会は特措法の改正を再三要求。休業要請に従わない場合に罰則を設けることや、国の財政支出で補償することを求めている。事前協議制度の見直しも主張。緊急事態宣言を市町村単位で出すことも提案している。

 菅義偉官房長官も「新しい法律は必要だ」として、改正の必要性は認めている。罰則の新設や知事の権限強化などには異論も予想されるだけに、検討のスピードを早める必要がある。

 野党4党は7月31日、臨時国会召集の要求書を衆院議長に提出した。新型コロナの感染拡大や7月豪雨災害について、政府に説明を求めるとしている。

 憲法53条は、衆参どちらかの総議員の4分の1以上が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないと定めている。

 野党は2015年と17年にも憲法に基づき臨時国会を要求。安倍晋三内閣は15年には開催せず、17年には約3カ月後に開いた臨時国会の冒頭で衆院を解散した。

 今回も召集に否定的な姿勢を見せているが、要求を拒んだり、開催を渋ったりすることは憲法上許されないと解すべきだ。

憲法を語る資格

 自民党は野党時代の12年にまとめた憲法改正草案で、臨時国会の召集要求があれば「20日以内に召集されなければならない」と53条に明記するよう提起している。与党になった途端に言を異にするようでは、憲法を語る資格すら疑われよう。

 東京都医師会の尾崎治夫会長は感染拡大を受け、「コロナウイルスに夏休みはない。一刻も早く国会を開いて国ができることを示してほしい」と求めている。国民への説明を尽くすためにも、安倍首相は早急に臨時国会召集を決断し、議論を主導すべきだ。