県の休業要請解除 検証急ぎ長期戦の備えを

5月22日 08:04

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく県の休業要請が、約1カ月ぶりに全面解除された。

 段階的に進めてきた社会経済活動の再開はいったん完了したが、かつての日常に戻れるわけではない。多くの事業者が経済的損失を被っており、仕事や行き場を失った人もいるだろう。落ち込んだ地域経済を回復させるため、長期戦も覚悟して備えを固めておく必要がある。

 店舗や施設は密閉・密集・密接の「3密」を避ける新たな営業形態で引き続き感染防止に努めたい。流行の第2波が発生した場合、県が再び休業要請を出す可能性もある。その際に県民から理解と協力が得られるよう、県はこれまでの施策の実効性と妥当性を今のうちに検証しておくべきだ。

 県の休業要請は、政府の緊急事態宣言が全国に拡大されて5日後の4月22日から実施。期限は当初、緊急事態宣言と同じ5月6日までとしていた。しかし、宣言が5月末まで延長されると、県は休業要請を20日まで延長。宣言は14日に解除されたが、カラオケボックスなど3密になりやすい一部施設への休業要請は続いた。

 県と熊本市との足並みの乱れも見られた。県は当初、事業者の休業補償の財源が確保できないとして休業要請を見合わせていたが、その間に熊本市は商業施設などに営業時間短縮を呼び掛けた。

 国、県、市の対応のばらつきは、感染防止や私権制限の観点から問題はなかっただろうか。連携の必要性も含め精査しておきたい。

 休業要請に伴い、県は独自に一律10万円の協力金と、国の「持続化給付金」を補完する最大20万円の事業継続支援金を創設した。県内多くの市町村も、熊本市が1カ月分の家賃の8割を助成するなど、国や県の制度を補う独自の支援策を打ち出した。

 それでも、営業継続を断念する事業者は出た。なぜ食い止められなかったのか。県は15日に協力金の給付を始めたが、支援金はこれから申請を受け付けるという。少なくとも給付のスピードを早めるといった改善点はありそうだ。

 休業要請の影響は、対象となった施設や店舗だけでなく納入業者などにも広がり、地域経済は大きな痛手を負った。感染者が発生していない地域も含めた県内一律の要請が妥当だったのかも詳細に検証しておきたい。

 準備不足のまま休業を余儀なくされた、との指摘もある。ネットカフェで常時寝泊まりしていた人の中には、居場所を突然失った人もいたようだ。思わぬ影響がほかにもなかっただろうか。

 外出自粛の長期化は、県民の消費意欲の低下も招いた。地域経済がにぎわいを取り戻すのは容易ではなく、事業者の息切れが心配だ。危機を乗り越えるには、3密を避ける工夫のほか、新業態への転換など先を見据えた対応も求められよう。行政や金融機関は迅速な融資で、こうした取り組みを後押ししてほしい。