コロナ禍中の災害対応 集団避難の見直しが必要

4月27日 07:27

熊本地震の本震後、益城町の避難所で横になるなどして過ごす住民ら=2016年4月16日

 新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急事態宣言が発出され全国で外出自粛が求められている中、地震や水害などの災害が起きたらどう対応するのかが、新たな課題として浮上している。

 感染拡大のリスクとして、密閉、密集、密接の「3密」が挙げられているが、これまで指定避難所とされてきた体育館や公民館など、ほとんどの施設がこれに該当する。感染症対策と両立させるためには、従来の集団避難中心の災害対応を根本から見直すことが必要だろう。

阪神大震災時から

 避難所における集団感染リスクは、1995年の阪神大震災時から指摘されていた。流行期と重なったことでインフルエンザがまん延し多くの関連死を招いた。

 2011年の東日本大震災でも避難所でインフルエンザが流行。16年の熊本地震では、ノロウイルスの集団感染が発生した。

 にもかかわらず、間仕切りや段ボールベッドの設置など、いくつかの運用改善は見られたものの、これまで不特定多数が大部屋で雑居するという集団避難の在り方そのものは、大きく見直されることはなかった。

 しかし、今回のコロナ禍を受けて内閣府は今月、避難所の衛生管理の徹底とともに▽可能な限り多くの指定避難所以外の避難所開設▽親戚や友人宅への避難の検討-などを自治体に通知。分散避難の方向性を打ち出した。

 県内では、避難所での避難者の専有面積拡大(益城町)、空いた仮設住宅の活用(南阿蘇村)などが検討されている。ほかにも休校中の学校の教室使用、家族単位でのテント設置、宿泊施設の借り上げなども考えられよう。梅雨時を前に、地域の実情にあった形での対策を急いでもらいたい。特に自宅療養中など感染の疑いのある人の避難場所確保は喫緊の課題だ。

多様な対応準備を

 そもそも指定避難所に被災者をまとめる集団避難は、主に効率を優先する行政側の都合が大きかったのではないか。避難所の環境が、感染症対策以外にもプライバシー確保など、被災者のニーズに応えきれていないとの声は以前からあった。

 熊本地震では、車中泊や自宅での軒先避難など、指定避難所以外への避難が多数あったにも関わらず、行政が把握できずに支援が行き届かなかったことが指摘されていた。今回のコロナ禍を経験し、被災者の側が避難所を敬遠する動きはさらに強まるだろう。

 避難所の環境改善とともに、多様な避難を想定しての対応準備が行政には求められる。ネットを利用しての被災者の所在把握や、支援物資供給の情報発信など、省力化しながら分散した被災者に支援をつなげる方策を考えたい。

 とともに被災者側の自助努力もこれまで以上に強く求められることになるだろう。個別の避難先や飲料水、非常食の確保など、災害時においても指定避難所以外で過ごせる準備をしておくことが、避難所の「3密」を避け、行政の負担を軽減することにもつながる。

危機管理の再構築

 災害時の保健衛生管理は、主にその地域の保健所が担うことになるが、現状ではコロナ対応に手いっぱいで、とてもその余裕はあるまい。全国が同様の状況では、民間も含めた広域での応援態勢も期待できない。

 一連の行政改革によって、保健衛生行政も保健所の統廃合など縮小が進められてきた。平時はそれで対応できても、有事対応には脆弱[ぜいじゃく]な実態が、今回のコロナ禍ではあらわになった。医療体制と合わせ、コロナのような感染症拡大と大規模災害が同時に発生するような最悪の事態も想定し、危機管理体制の再構築を考えていかねばなるまい。