緊急経済対策 これで安心は得られるか

4月9日 09:05

 政府は新型コロナウイルスの感染拡大に対応して、事業規模108兆2千億円の緊急経済対策と財源となる2020年度補正予算案を、7日の臨時閣議で決定した。

 コロナ対策としては、同日発出された緊急事態宣言と車の両輪となる。安倍晋三首相が「日本経済は戦後最大の危機に直面している」と現状を位置付け、過去最大の規模とはなったものの、その実効性、即効性には疑問が残る。これで国民が安心を得られるかについては、心もとない内容だと言わざるを得ない。

 今回の民間支出分なども含めた事業規模は、リーマン・ショック後の09年4月に決定した56兆8千億円を大幅に超え、国内総生産(GDP)の2割に相当する。この数字だけ見れば突出した額ではあるが、財政支出は財政投融資や地方支出分も合わせて39兆5千億円。このうち、補正予算で国が直接、政策経費を手当てするのは16兆7058億円だ。

 事業規模には、昨年末に決定していた経済対策の未執行分や、納税や社会保険料支払いの猶予といった負担の先送り策も入っている。さらに旅行代補助など感染終息後の景気浮揚策や、公共施設の木造化支援などコロナ禍とは直接関係ないような政策まで含まれており、中身よりまず規模ありきとの印象が強い。

 補正予算の成立は今月下旬、事業執行は来月以降の見通しで、スピードも物足りない。先月成立した本年度当初予算の組み替えで対応すべきだったのではないか。

 対策の目玉とされているのは現金給付だが、家庭向けに総額4兆円、中小企業や個人事業主向けには同2兆3千億円と、事業規模総額に比べれば小粒だ。

 家庭向けの給付は当初検討されていた個人への一律ではなく、収入が半減するなどした家庭の世帯主に限った。困窮者を優先するとの趣旨は理解できるが、対象はかなり絞られた上に、減収を証明する書類を付けて申告する必要があるなど、手続きが煩雑となった。

 窓口となるのは各自治体で、これも実際のスタートは来月以降となる。できる限り迅速に給付するためにも、窓口の混乱を防ぐ工夫がいる。企業、事業主への給付なども含めたワンストップで対応する総合的な相談窓口の開設や、オンライン申請システムの構築などが必要だろう。

 緊急事態宣言に伴う休業を補償することについて首相は、「直接補償は現実的でない」と改めて否定した。宣言の根拠である新型コロナ特措法にも補償の規定はないが、法的裏付けがある要請に協力した事業者の損失を自己責任に帰すのは酷に過ぎよう。要請の実効性を高めるためにも、何らかの補償策を検討するべきではないか。

 熊本県内でも、既に幅広い業種がコロナ禍の影響を受けている。熊本地震での負債と合わせて苦しむ企業や個人も少なくない。県をはじめとする各自治体でも国の対策実施を待つことなく、できる限りの支援策を進めてもらいたい。