緊急事態宣言 感染沈静化への転換点に

4月8日 07:03

 安倍晋三首相は7日、新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく緊急事態宣言を発出した。国内でも感染拡大が止まらぬ中、やむを得ない措置だろう。ついに抜くことになった「伝家の宝刀」を、感染沈静化への転換点にしたい。

 緊急事態宣言について首相はこれまで、経済活動への影響を懸念し「ぎりぎり持ちこたえている」と慎重な姿勢を取ってきた。しかし、先週末、東京で連日100人を超える感染者が確認されたことなどから方針を転換。7日夜の会見では、首相は「都市部を中心に感染が拡大し、医療崩壊が懸念されるため宣言が必要と判断した」と述べ国民の理解を求めた。

 対象地域は東京、大阪、福岡など7都府県。各知事は不要不急の外出の自粛要請や学校、娯楽施設の使用制限の要請・指示などができるようになる。ほかにも医薬品などの強制収用といった多くの私権制限を伴う措置が可能になる。

 地域の感染状況、住民や地元経済への影響を見極めながら、慎重な判断を求めたい。実施への協力を得るためには、影響を受ける人への経済支援とともに、改めてその措置がなぜ必要なのかの丁寧な説明と情報公開も欠かせない。

 一方で、外国のような強制力のある都市封鎖は行われない。公共交通機関は動き、電力、ガス、水道といったライフラインは維持され、生活必需品の買い物や病院に通うこともできる。

 実施期間は5月6日までの1カ月程度とされるが、解除について首相は「専門家の意見を聞いて判断する」としている。住民一人一人が買い占めなどを控え、密集、密接、密閉の回避を心掛けたい。それが、早期の解除にもつながるはずだ。

 都は映画館やライブハウスなど娯楽施設を中心に休業を要請する方針だが、依然多くの人が電車やバスでの通勤を続けている。企業活動を維持するのであれば、テレワークや時差出勤といった感染防止策の強化も不可欠だろう。

 こうした対応によって感染拡大のスピードを遅らせる間に、医療の確保に全力を挙げるべきだ。

 経路不明の患者が増えてきた東京では、病床が逼迫[ひっぱく]。都はホテルを借り上げ、無症状や軽症の感染者を入院先から移し、症状の重い感染者のために病床を空ける取り組みを始めた。

 重症者と軽症者、またコロナ以外の病気など、各医療機関が何を担うのか、役割分担の明確化が必要だ。その上で、マスクや防護服といった院内感染を防ぐ装備と、重症者に対応する人工呼吸器などの機器の十分な配備を急いでもらいたい。サポート要員の増員も必要だろう。

 熊本は対象地域に含まれていないが、隣県の福岡が入った。熊本も感染拡大が止まったわけではない。今後、患者が急増すれば追加になる可能性もある。7都府県でどんな対策が取られるのかしっかり見極め、備えておきたい。