県内の学校再開 できる限りの安心提供を

4月7日 07:13

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、県教育委員会が熊本市内の県立学校に限って臨時休校を19日まで延長することを決めた。同市以外の県立学校は条件付きで8日予定の始業式から再開する。

 熊本市教委は、市立学校の休校を大型連休最終日の5月6日まで延長すると既に決定済み。3月初めから休校が続く県内の高校や特別支援学校などの再開時期は、設置者や所在地によって、おおむね3通りになりそうだ。

 休校を延長するにせよ、再開するにせよ、課題はそれぞれ山積みだ。感染拡大の抑止と、子どもたちの学びの保障を両立させるための丁寧な対応を求めたい。

 学校の臨時休校を巡っては、文部科学省が都道府県教委などにガイドラインを通知。政府の専門家会議が示した「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」の3区分のうち、感染者の急増や医療態勢の切迫がみられる感染拡大警戒地域では、地域内の一斉休校も「選択肢として検討すべきだ」としていた。

 県と熊本市の合同専門家会議は3日時点で、県内は中位に当たる感染確認地域に該当すると判断。ただ、感染拡大が続く熊本市は、最上位の感染拡大警戒地域に「極めて近い」としていた。県教委による熊本市内に限った休校延長の決定はこれに沿ったもので、感染拡大の抑止を最重視した判断といえる。

 再開する学校にとって、感染抑止対策は最優先の課題だ。県教委は、熊本市以外の県立学校に対し、学年やクラス別に登校日を設ける分散登校や、バスなどが混み合う時間帯を避ける時差登校、検温や風邪症状の確認の徹底などを学校現場に要請。差別やいじめへの対応や心のケアにも言及した。感染が確認された施設や関係者への誹謗[ひぼう]中傷が県内でも問題になっているだけに、十分な配慮が必要だろう。

 県は熊本市内の私立学校に19日までの休校を、同市外の私立学校には、再開する際は分散登校などの措置を取るよう要請。県教委も各市町村教委に対し、学校を再開させる際は同様の対応を求めた。

 長期休校を余儀なくされる学校には、児童生徒や保護者の不安を和らげ、子どもたちの学習や成長をサポートする工夫が一層求められる。熊本市教委は、小学3年以上についてインターネットで授業の遅れをカバーする考えだ。ネット環境が不十分な家庭にはタブレット端末を貸与し、15日にも遠隔授業を始めるという。

 熊本市内の県立学校は、熊本市立の学校より早い時期の再開となるが、在宅学習の環境づくりは同時に進めなければなるまい。状況の悪化に伴う休校期間の再延長や、再開した学校の再休校といった事態も想定しておくべきだ。さらなる非常時に備え、タブレット端末の本格導入など根本的な態勢強化が急がれる。通常通りの教育環境を確保することは困難だとしても、子どもや保護者にできる限りの安心を提供してほしい。