熊本空港民営化 県経済浮揚させる施設に

4月3日 06:26

 熊本空港が完全民営化された。今後は三井不動産を代表とする11社が出資する運営会社「熊本国際空港」(益城町)が滑走路を含む空港業務全般を担う。

 新型コロナウイルスの感染拡大という、かつてない逆風が吹く中での新たなスタートである。当面は難しいかじ取りを強いられよう。人の移動への制限が解かれるのはしばらく先になりそうだが、交流人口の増加は地域の活性化に欠かせない。県全体の経済を浮揚させる空港に生まれ変わるよう力を尽くしてもらいたい。

 運営会社には九州産業交通ホールディングスや九州電力など地元企業5社も参画している。民間ならではの知恵に地元企業の視点も融合させ、魅力あふれる「玄関口」をつくり上げてほしい。

 熊本空港の民営化論議は、そもそも熊本地震で被災したターミナルビルの再建に民間活力を導入する狙いでスタートした。運営会社の事業期間は昨年5月からの33年間。会社側からの希望などがあれば最大25年間延長できる。長期間にわたるだけに責任も大きい。

 今月7日にはターミナル機能が仮設ビルに移転。その後、国内線と国際線を一体化した新しいターミナルビルの建設が2023年春の完成を目指して始まる。

 国の入札時に示された計画には、保安検査通過後の店舗エリア拡大などが盛り込まれている。それぞれの出資企業が持つノウハウを生かし、周辺地域の活性化にもつながる施設にしてもらいたい。

 路線の誘致も積極的に進める構えだ。同空港の国際線は昨年時点で韓国・大邱[テグ]線など4路線。計画では、東アジアからの路線誘致に特に力を注ぎ、51年度までに17路線に増やすとしている。

 ただ、日韓関係の悪化や新型コロナの影響で運休が相次ぎ、現時点の国際線は事実上ゼロだ。目標を達成するのは並大抵のことではあるまい。新型コロナ問題に終息の見通しが立てば、各空港との路線獲得競争も再び激化する。

 同社には県も2億5800万円を出資している。空港の活性化に向けて、社内と社外の双方から協力していく必要があるのは言うまでもない。官民で連携して、より多くの旅客を空港から県内各地へ向かわせる戦略を練り上げるべきだ。

 気掛かりな点もある。民営化論議に歩調を合わせて、県がJR豊肥線の三里木駅から新ターミナルビルまでの約10キロ区間にアクセス鉄道の整備を計画していることだ。

 交通アクセスの改善は同空港の長年の課題だが、県が示す概算事業費380億円で足りるのだろうか。もとより費用対効果は見込めるのか。整備しても利用が思うように伸びなければ、将来に禍根を残す。

 今後、県は需要予測やルートといった詳細な調査結果を公表する予定だ。先の知事選でも争点となっただけに、必要性について県議会などの場で突っ込んだ議論を重ね、計画を精査する必要がある。