五輪新日程 コロナでも「連帯」具現を

4月1日 08:53

 新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の延期に追い込まれた東京五輪は、来年7月23日に開幕、8月8日までとする新たな日程が決まった。大会組織委員会と国際オリンピック委員会(IOC)、東京都、政府が合意し、IOC理事会でも承認された。

 当初予定から1年遅れの、ほぼ同時期の開催だ。背景には、感染終息までの期間を長く確保してリスクを軽減する一方、既に積み上げてきたスケジュールをそのままスライドさせて、運営への影響を最小限に抑える狙いがある。パラリンピックも、従来の計画と同時期の8月24日から9月5日までの開催となる。

 ただ、世界に広がった新型コロナウイルスの今後は見通せない。闘いは年単位で続くという専門家の見方もある。開催はなお不透明だと言わざるを得ない。

 IOCにとって、最優先の課題は新日程の確定だった。延期決定後、3月26日の国際競技連盟(IF)との会議では「3週間をめどにはっきりさせたい」と方向性を示したが、実際には6日後のスピード決着となった。「開催日が決まらなければ再出発の準備も遅れる」という関係者の危機感が後押ししたといえよう。

 新日程の検討にあたっては春に早める案も出たという。最も暑い夏の開催は、新型コロナウイルスの感染拡大前から懸念材料となっていた。しかし、巨額の放送権料を支払う北米テレビ局の事情、予選を実施する期間などを考慮すると、7月開催以外に選択肢はなかったとされる。米プロバスケットボールや欧州サッカーなど人気スポーツのシーズンと重なれば、五輪の「商品価値」が下がる懸念もあったという。

 加えて、夏休み時期は学生ボランティアが参加しやすい、子どもたちも観戦できる、販売済みチケットを極力生かせる-などの事情もあった。

 選手らは「準備期間が1年あることは幸運」「日程が決まり、気が引き締まった」と前向きに受け止めている。延期決定後、「準備しようにも動けない」とやきもきしていた開催自治体も「ゴールが決まり、交渉を本格化できる」と胸をなで下ろす。

 一方で、延期は6400億円の経済損失という試算もある。新たな会場の調整や追加費用をどう負担するかなど、課題は多く残されている。

 もちろん、最も懸念されるのは新型コロナウイルス問題だ。世界の感染者が70万人を超えた現在、抑え込みの切り札として期待されるのはワクチン開発だが、実用化には1年程度は要するという見方がある。

 くすぶり続けたまま世界中から人が集まれば、再び流行が拡大することにもなりかねない。治療・感染予防で国際的な連携を深め、同時にウイルスをどう監視し、封じ込めていくか-。難題だが、これに成功して開催にこぎつけてこそ、真に「連帯」を象徴する五輪となるのだろう。