学校再開指針 警戒緩めず丁寧に準備を

3月26日 08:10

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため続いている小中高校などの一斉休校について、文部科学省が学校再開に向けた指針を公表した。安倍晋三首相が主導して唐突に始まった全国一律の対応を修正し、原則として全ての学校の再開へとかじを切る。

 再開の条件として「換気の悪い密閉空間」「多くの人が密集」「近距離での会話や発声」という三つの悪条件が重ならないことを明示。一方で、多くの学校では人の密度を下げることに限界があることも認め、マスクの装着や教室のこまめな換気、毎朝の検温などの対策を徹底するよう求めた。

 基本的な感染対策を押さえた内容で、学校現場からも評価する声が上がっている。ただ、新型コロナに関する国内の状況が改善しているわけではない。春休み明けに子どもたちが安心して登校できるよう、警戒を緩めることなく丁寧に準備を進める必要がある。

 指針は、給食の際には手洗いを徹底し、会話を控えるよう明記。部活動などでも3条件が重ならないよう求めた。「手洗いや、せきエチケットの指導を行ったか」など対策を列挙したチェックリストも添付して活用を求めている。

 休校で生じた学習の遅れは、補充授業や補習、家庭学習で取り戻すよう要請。患者や家族らに対する差別や偏見は許されないことも明記した。子どもたちが速やかに日常を取り戻せるよう、きめ細やかに対応したい。

 ただ、指針に沿うための条件整備の面では不安も残る。例えば、市販のマスクは依然として入手しづらい。文科省は「手に入らなければ家庭にあるもので手作りを」としているが、学校現場での柔軟な対応が欠かせまい。

 学校再開の時期については設置者の判断が優先されるが、萩生田光一文科相は「単に学校内の感染者だけでなく、自治体内に感染者がいるかいないかを含めて都道府県とよく相談してほしい」と説明した。各校は専門家の意見も踏まえての難しい判断を迫られることになりそうだ。

 再開後に児童や生徒、教職員の感染が分かった場合は、状況に応じて感染者と濃厚接触者を出席停止にするほか、学級や学校単位で休業することを認める。感染状況は地域によって異なるだけに、理にかなった方法だろう。自治体などで爆発的な患者急増(オーバーシュート)が起きた場合は、状況に応じて国から改めて休校を要請する可能性もある。

 子どもたちは一斉休校によって教育を受ける権利を制限され、卒業式の中止や規模縮小、十分な外遊びができないなどといった不自由な環境に置かれた。再開する際は、ストレスを抱えた子どもたちへのケアにも努めてもらいたい。

 今回の指針は「感染が起きた場合は学校の責任」という政府の免罪符ではない。教育委員会や地域社会、各家庭も、学校の取り組みを支えてもらいたい。さらに今後は、塾や習い事など学校外の場所への目配りも必要となろう。