介護人材の不足 超高齢社会の安心実現を

1月22日 09:17

 世界に類を見ない超高齢社会を迎える中で、介護に携わる人々の存在は極めて重要だ。しかし、その確保が見通せない。

 厚生労働省は、介護福祉士を養成する専門学校や大学などの卒業生に対し、国家試験に合格しなくても暫定的に資格を与えている2021年度までの特例措置を延長する方針を固めた。背景にあるのが介護人材の不足である。

 厚労省が推計した介護人材の需給見通しによると、20年度は必要とされる216万人に対して確保できるのは203万人で、13万人が不足する。さらに団塊世代全員が75歳以上になる25年度には需給ギャップが拡大。必要数は245万人に増えるが、対策を急がなければ人材は211万人の見込みで34万人足りない。充足率は86・2%にとどまると見込まれている。

 県内の場合、25年度は必要数の3万5千人より2千人少ない3万3千人と見通し、充足率は全国平均より高い94・1%と推計している。ただ、介護現場は既に人材不足に直面している。

 「増床したのに、職員を確保できず新規入居を受け入れられない」「ケアマネジャーのなり手が足りず、ケアプラン作成に支障が出かねない」。現場が訴える危機感は、いずれも高齢者の暮らしに直結するものだ。

 今回の特例延長は、養成学校で学ぶ外国人留学生を念頭に、人手不足解消に向けて日本での就労を促すのが狙いだ。

 介護福祉士は以前は、養成学校を卒業すれば資格を得られたが、22年度卒業生からは国家試験の合格を要件とするよう改定。経過措置として17~21年度の5年間は、▽卒業後5年以内に試験を合格▽原則卒業後5年間続けて介護の実務に従事-のどちらかを満たせば、引き続き資格を保持できるとする特例を適用している。

 しかし、外国人は日本語の専門用語が壁となり、試験の合格率が低迷。合格を義務付けると、留学生が減ると懸念する与党や関係団体が特例延長を求めていた。

 一方で介護士の質の向上には合格が不可欠との意見も根強い。質の高い介護を支えるには、外国人の門戸を広げるだけでなく、より多角的な取り組みが欠かせまい。

 県高齢者支援課によると、介護人材確保の施策は「多様な人材の参入」「職員の定着」の促進と、給与などの「処遇改善」が3本柱。加えて本年度は、厚労省が選定した全国7自治体の一つとしてパイロット事業も実施している。ロボットやセンサーの活用や、中高生に介護職の魅力を伝える試みなど、模索を続けている。

 人口に占める65歳以上の割合を表す県内の高齢化率は30・6%(18年)で、25年には33・2%に達し、その後も上昇。全国平均を2~3ポイント上回る水準だ。これをリスクとせず、安心して暮らせる超高齢社会を実現するには、人手不足が現場の負担増につながるという悪循環を断ち、介護を担う人々が、やりがいを実感できる環境づくりを急がねばならない。