日米安保条約60年 平和主義前提に再構築を

1月21日 07:07

 日本と米国の相互協力をうたった現行の日米安全保障条約は、19日で署名から60年を迎えた。

 米国に日本防衛の義務を課す一方、米軍に基地を提供する条約は、日本の外交・安全保障政策の基軸と位置付けられてきた。戦後の復興と繁栄を支える土台となった安保体制の重要性は、新しい時代においても変わらないだろう。

 しかし「米国第一主義」を掲げるトランプ米大統領は、批判の矛先を日米安保にも向ける。さらに中国の台頭や北朝鮮の核危機など国際情勢は不安定さを増している。こうした中で日本は、憲法が掲げる平和主義を前提に米国との関係をどうつくるのか、再検討する時期に来ている。

 冷戦後の日米安保体制は、1996年の安保共同宣言が転機となった。湾岸戦争や朝鮮半島危機を経て、同盟の目的を「アジア太平洋地域の安定的繁栄」と再定義。翌97年に自衛隊と米軍の役割を定めた日米防衛協力指針(ガイドライン)を改定し、自衛隊と米軍の運用の一体化がいっそう進んだ。

 さらに、2015年に安倍晋三政権下で成立した安全保障関連法は、集団的自衛権の行使を解禁し、地理的な制約なく米軍の後方支援を可能とした。日本では、米国の戦争に巻き込まれるリスクへの懸念は根強く、過度な一体化を危ぶむ声もある。

 こうした対米追随の進行にもかかわらず、日米同盟は盤石とは言えない。トランプ氏は、防衛義務と基地提供という「非対称」の負担を、「不公平だ」と主張する。改定交渉が本格化する在日米軍駐留経費は、負担増が求められるに違いない。米政権が迫る巨額の米国製の防衛装備品の調達により、防衛予算は膨らみ続けている。

 安保条約と同時に署名され、在日米軍人らの特権を認めた日米地位協定も、抜本的な見直しが急務だ。沖縄をはじめ各地で住民の暮らしが脅かされる状況が続く限り、国民の信頼は得られない。

 内向き志向を強める米国は、国際社会での影響力低下は避けられないだろう。日本は日米安保体制を基軸としながら、中国との互恵関係や、対北朝鮮での韓国との連携など多角的な外交を展開し、これからの時代に合った安全保障の枠組みを築いていく必要がある。