国会きょう開幕 「言論の府」が問われている

1月20日 07:31

 国会は、国権の最高機関の名に値するのだろうか。いまや権威も機能も失墜し、「政権の下請け機関」と言われても仕方ないのではないか。

 通常国会がきょう召集される。国会は、言論の府としての存在意義を問われ、まさに土俵際にあると言っても過言ではあるまい。衆参両院の議員は与野党を問わず、立法府としての役割と責任を自覚し、行政府に対する監視機能を取り戻してもらいたい。

軽んじられる存在

 2012年の第2次安倍内閣発足から7年余。与野党内に有力な対抗勢力が見当たらず、「安倍1強」と呼ばれる長期政権の下、国会の現状は目を覆わんばかりだ。

 安倍政権の国会を軽んじる振る舞いは、昨秋の臨時国会で浮上した「桜を見る会」の問題にも如実に表れている。公金による行事の私物化とも言える疑惑に対し、関与を問われた安倍晋三首相の説明は転変。野党は予算委の集中審議を開いて首相に詳しく説明するよう求めたが、与党は開催を拒否し、そのまま臨時国会は閉じられた。今年になって新たに、内閣府幹部が国会に提出した文書を「加工」していたことも発覚した。

 共同通信の世論調査で、首相の説明を「十分と思わない」とした人は年末に83・5%だったが、今月の調査でさらに86・4%に増えた。「逃げる政権」と、それを忖度[そんたく]して「隠す官僚」。国民の目にはそう映っているのではないか。

 国民が政権への不信感を広げている原因は、公選法違反の疑惑を持たれ、隠れるように表舞台から消えた二人の元閣僚にもあろう。菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相は、国会で予定されていた質疑を前に辞表を提出。疑惑については一切公に説明していない。首相は臨時国会で謝罪したものの、説明責任については「自ら果たすべきだ」として傍観したまま。任命権者として指導力を発揮した形跡は見えない。

審議避け、素通り

 緊迫する中東地域への自衛隊派遣も、国会でほとんど審議されなかった。実力組織を海外に送る重い判断だったにもかかわらず、政府は現行法の「調査・研究」を根拠にし、閣議決定だけで済ませた。イラン革命防衛隊の司令官が殺害され、報復として米軍駐留基地が攻撃されるという事態は、明らかに派遣決定時と異なる。国会を素通りさせた軽い対応を含め、派遣は問い直されるべきだ。

 国会で議論を深め、速やかに対応していかなければならない重要課題はめじろ押しだ。安倍首相が「最大のチャレンジ」と強調する全世代型社会保障制度の構築は、与野党を挙げて真正面から立ち向かうべき分野である。歯止めのかからない少子高齢化対策も待ったなしだ。

 現職国会議員の汚職事件にまで発展したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業に関しては、野党がIR実施法の廃止法案を提出する構えだ。立ち止まって議論しなおすべきだろう。

 外交課題も枚挙にいとまがない。最悪と言われる日韓関係の修復は急務。春には中国の習近平国家主席の来日を控える。拉致問題にかかわる朝鮮半島情勢、ロシアとの北方領土交渉、在日米軍駐留経費負担をめぐる米国との交渉も本格化する。

透明性による担保

 これらの政策課題を議論する上で、行政の公平・公正性が大前提となることは言うまでもない。それは行政の透明性が担保されてこそ実現できるものだろう。政府が「不都合な真実」にふたをし、手間の掛かる説明を避けようとするのなら、国民との信頼関係など到底結ぶことはできまい。

 通常国会では、国会が「言論の府」として本来の姿に立ち返り、国民の負託に応えてもらいたい。