目黒虐待死の判決 教訓くみ取り再発防止へ

10月17日 07:44

 東京都目黒区で昨年3月に船戸結愛[ゆあ]ちゃん=当時(5)=が死亡した児童虐待事件で、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告(34)に懲役13年の判決が東京地裁で言い渡された。判決で認定された事実などから教訓をしっかりとくみ取り、後を絶たない児童虐待の再発防止を着実に進めていかなければならない。

 判決によると、雄大被告は昨年1月下旬から結愛ちゃんの食事制限を始め、結愛ちゃんは1カ月余りの間に体重の25%を失うほどに痩せた。暴行も常習的で、2月24~26日ごろには結愛ちゃんを全裸にしてシャワーで冷水をかけ、顔を手加減なく殴り衰弱を悪化させた。結愛ちゃんは3月2日、搬送先の病院で死亡が確認された。

 守下実裁判長は、一連の虐待を「しつけという観点から懸け離れ、自らの感情に任せた理不尽なものだった」と認定。病院に連れていかなかったことについても「虐待の発覚を恐れたという身勝手極まりない保身の目的」と強く非難した。

 一方で、検察側の求刑懲役18年に対し13年とした判決を、裁判長は「虐待のひどさが社会の耳目を集めたことを踏まえても、最も重い部類を超えた刑を科すべき根拠は見いだせない」と説明。裁判員も難しい判断を迫られたようだが、過去の量刑傾向とのバランスも考慮した結果となった。

 この事件では当初、香川県の児童相談所が結愛ちゃんを一時保護。一家が目黒区に転居した後は、東京都の児相職員が自宅を訪問したが面会を拒否されていた。

 厚生労働省の専門委員会は事後検証で「児相の引き継ぎが不十分だった」と報告し、行政の問題点を指摘。その後も今年1月に千葉県野田市の栗原心愛[みあ]さん=当時(10)=が亡くなる事件などが相次ぎ、政府は児童虐待防止法などの関係法を改正した。

 改正法は来年4月からの施行で、親権者や里親による「しつけ」名目の体罰禁止を明文化。児相での一時保護など「介入」を担当する職員と、保護者の相談など「支援」を担当する職員を分け、介入機能を強化する。

 法の実効性を高めるには、児相の児童福祉司の増員などを確実に進めることが肝心だ。マンパワーの強化が伴わなければ、行政機関間の連絡をおろそかに扱ったり、親への面会を諦めたりすることにつながりかねない。今年8月に鹿児島県出水市で4歳女児が死亡した虐待事件でも、児相の対応の遅れと関係機関の連携不足が指摘された。

 虐待した親に対する医学的治療や改善プログラムの義務付け、民法の懲戒権削除の議論なども、まだ課題として残されている。

 目黒の事件では、母親の優里被告(27)も一審で懲役8年の判決を受け、控訴した。雄大被告から心理的ドメスティックバイオレンスによって支配されていたとされる。こうした家族関係への対応にも目を向けていかなければならない。