衆参代表質問 国会空洞化止める論戦を

10月10日 08:43

 衆参両院で9日までの3日間、安倍晋三首相の所信表明演説などに対する各党の代表質問が行われた。

 6月の通常国会閉会から3カ月余りの長期空白を経て、立憲民主党、国民民主党などが統一会派を結成して初めて臨む国会である。「1強多弱」の構図にくさびを打ち緊張感をもたらす論戦が期待されたが、これまでのところ、それに応えるような内容はなかったと言わざるを得ない。

 野党統一会派を代表して7日の衆院本会議で質問に立った立民の枝野幸男代表は、追及の「3点セット」と位置付ける関西電力の役員らによる金品受領や芸術祭への補助金不交付、かんぽ不正報道を巡るNHKへの抗議問題についての首相の姿勢を問いただした。

 関電問題では、政府による徹底調査を求めた枝野氏に対して、首相は関電が設置する第三者委員会の結論を待つ姿勢を示した上で、「再発防止などの措置を講じることで、利用者の信頼回復に努めることが必要」と述べるにとどめた。

 また、補助金不交付については「文化庁でそうした判断をした」、NHK問題には「総務省において適切な対応をする」といずれも第三者的な答弁に終始した。

 代わって首相が意欲を示したのは憲法改正だ。8日の参院本会議では「国民の声は、憲法改正の議論を行うべきというものだ」と主張。「自民党は既にたたき台を提示している。野党各党にも案を持ち寄っていただき、憲法審査会の場で国民の期待に応える活発な論議を行ってほしい」と求めた。

 「国民の声」と言うが、直近の世論調査でも憲法改正に対する支持は高まっていない。むしろ関心が高いのは、消費税増税後の景気対策などの対応、そして増税分を財源とする「全世代型社会保障制度」改革の行方だろう。しかしこれについても、首相からは具体的答弁はなかった。また、今国会で承認案が提出される予定の日米貿易協定の説明も不足している。

 論ずべき課題が山積する中、質問と答弁がかみ合わないままで、論議が一向に深まらないというこれまで通りの展開が続いている。

 これは第一に、野党の追及をはぐらかして、自身が主張したいことだけをとうとうと述べるという変わらぬ首相の答弁姿勢に起因するものであろう。改めて自省してほしい。

 それとともに、統一会派を組んだ野党側の姿勢にも迫力不足を感じる。改憲にしろ原発問題にしろ、立民と国民の足並みはまだそろっていない。明確な対立軸を打ち立てることができなければ、政権側にも「単なる数合わせ」と見透かされるばかりだ。早急に基本政策を一致させるべきだろう。

 国権の最高機関である国会の空洞化が言われて久しい。論戦を深めてそれを食い止める努力が、政府にも与野党にも求められている。そのことを強く自覚した上で、今日からの衆院予算委員会に臨んでもらいたい。