千葉の大規模停電 「想定外」で済ませるのか

9月17日 08:02

 台風15号が首都圏を直撃して1週間が過ぎた。とりわけ大きな被害が出た千葉県内では今なお数万戸で停電が続いており、全面復旧にはさらに10日程度かかる見通しという。

 熊本地震では、われわれも停電による不自由さを味わった。当該地域のことを思うと胸が痛む。東京電力は一刻も早い復旧に全力を挙げてもらいたい。

 台風15号は、9日未明に千葉市付近に上陸。関東南部で記録的な暴風雨となり、千葉県内では送電用鉄塔2基が倒壊した。各地で電柱がなぎ倒されて電線が損傷したため、停電は一時、千葉など7都県で最大90万戸以上に及んだ。

 東電は当初、11日中の全面復旧を目指すと発表したが、予想を上回る量の倒木で伐採や修復作業が難航。復旧の見込み時期が度々修正された。

 東電は「台風の規模が今まで以上に大きかったことを考慮に入れず、過小な想定をした」と釈明。これに対し、千葉市の熊谷俊人市長は、「楽観的な見通しの発表は被災者のためにならない。できる限り最悪の事態を想定して情報発信する意識を持ってほしい」と苦言を呈した。

 東電側のあいまいな情報が、当該地域の住民や自治体に混乱を招いたのは間違いない。住民の生命と財産を預かる市長として当然の発言であり、東電は重く受け止めるべきだ。

 これまで首都圏では台風直撃による被害はほとんどなく、備えや読みが甘かった面も否めない。ただ日本の中枢機能が集まる首都圏を供給エリアとする電力事業者である。「想定外」に備える重要性は、8年前の福島第1原発事故で痛いほど学んだはずだ。東電は復旧作業を急ぐのはもちろん、再発防止に向け、大規模停電と復旧遅れが生じた原因を徹底的に検証してもらいたい。

 地球温暖化の影響もあって、近年、台風の勢力が強まる傾向がある。昨年9月の台風21号でも、関西電力管内で千本以上の電柱が折れて延べ220万戸が停電し、全面復旧までに17日間も要した。

 台風に対する具体的な対策としては、送電用の鉄塔や電柱の強度見直し、電線の地下埋設などが考えられる。このうち電線の地下埋設については、国が2018~20年度の3年間に全国の道路1400キロで着手する目標を掲げ、災害時の物流ルートとなる緊急輸送道路千キロでも別途進める方針だ。

 ただ1キロ当たり5億円を超す埋設費用が最大のネックとされる。ガス管や水道管の移設が必要なケースもあり調整に手間もかかるが、赤羽一嘉国土交通相は、今回の事態を受けて前向きに進めていく姿勢を強調した。スピード感を持って取り組んでもらいたい。

 これから台風シーズンが本格化する。全国の送電設備の点検を急ぐとともに、災害時の拠点となる自治体の庁舎や避難所で非常用の電源がきちんと確保できるかなどを改めて確認しておく必要がある。楽観は禁物である。