迫る消費税増税 万全の準備で混乱回避を

9月16日 09:06

 消費税率を現行の8%から10%に引き上げる増税まで残り約2週間。1989年の導入以来、3回目の引き上げとなる今回、政府は買い控えによる景気の腰折れを防ぐため、家計の負担を少なくする軽減税率を初めて導入するほか、キャッシュレス決済を対象としたポイント還元も実施する。

 しかし、いずれも仕組みが複雑で、店頭でのトラブルを懸念する声が絶えない。政府は、企業や自治体、各種団体など幅広い協力を求め、制度の周知や対応レジの設置など準備の徹底を図り、混乱回避に全力を尽くすべきだ。

店内か持ち帰りか

 軽減税率の導入によって、家計への影響が大きい飲食品の税率は8%に据え置かれる。だが、同じ飲食品でも、店内で食べれば税率は10%となる。

 食料品店などで夕食の材料などを買いそろえる場合は特に問題なかろうが、コーヒーショップやハンバーガーチェーン、牛丼店などでは、持ち帰って食べた方が得では、と悩む消費者も出てこよう。

 店側の対応方針も割れている。ハンバーガーチェーン最大手の日本マクドナルドは、約7割の商品の本体価格を下げて店内飲食と持ち帰りの税込み価格を統一する。分かりやすさと利便性を重視したという。牛丼のすき家や松屋、ケンタッキーフライドチキンなども同様の対応を取るという。

 本体価格を下げれば店側の利益は圧迫されるが、店内で飲食したい消費者にとっては、これまで同様に持ち帰りと同じ価格となるため気軽に利用できよう。

 これに対しモスバーガーやロッテリア、吉野家、スターバックスコーヒー、ドトールコーヒーなどは税込み価格に差をつける。営業戦略上、店内飲食を重視するかどうかで対応が分かれたのだろう。

店で異なる還元策

 一方、ポイント還元は、中小事業者の店舗でクレジットカードなどを利用してキャッシュレス決済をした場合、最大5%のポイントを消費者に還元する。価格競争に弱い小規模店を支援する目的のほか、キャッシュレス決済の普及という狙いもある。ただ、対象とされる約200万の中小事業者のうち、ポイント還元を導入するのは3割の約60万店にとどまっている。レジの改修が間に合わないなど物理的な問題が大きいようだ。

 同じ看板を掲げる店でも、フランチャイズ店と直営店でメリットが異なるケースも出てくる。マクドナルドの場合、フランチャイズ店ではポイント還元を実施するが直営店は行わない。直営店のポイント原資を国が負担しないことなどが背景にあるとみられる。

 フランチャイズ店と直営店の違いなど一般の消費者は分かるまい。ポイント還元を巡る誤解などで店頭でのトラブルが相次げば、消費者はもちろん、現場で働いている人々にとっても負担となろう。対応マニュアルなど事前の準備を急ぐとともに、消費者への説明も丁寧に行ってもらいたい。

 一方で、クレジットカードなどを持っていなかったり、使用に不慣れだったりする“デジタル弱者”と呼ばれる高齢者や低所得者にも恩恵が及ぶような仕組みづくりも必要だろう。

地方支援策も必要

 今回の消費税増税は、財政の立て直しと社会保障制度の安定のために国民全体が痛みを分かち合うものだ。円滑なスタートを切ることで増税への理解を得て、財政再建への論議を前に進めたい。

 県内の企業も準備に追われている。増税前セールに打って出る大型店も多く、気の抜けない日々が続くだろうが、地域密着のサービスとアイデアで生き残りを図ってほしい。政府は、増税が地方経済にどんな影響を与えるかも注視し、実情に沿った支援策を講じてもらいたい。