サクラマチ開業 都市機能向上への起点に

9月15日 09:17

 熊本市中央区の桜町再開発ビルの大型商業施設「SAKURAMACHI Kumamoto(サクラマチ クマモト)」が14日、開業した。飲食を中心に服飾や物販など149店が集まる商業施設は初日から賑[にぎ]わい、一新された中心市街地の核への期待は高まる。

 半面、少子高齢化と人口減が進む社会情勢を見れば、華やかな開業ムードも楽観できまい。熊本市では別の大型開発も進んでおり、新規・既存の商業施設との競合激化は必至だ。

 バスターミナルや大規模ホールも備えた再開発ビルは商業施設としてだけでなく、利便性の高い交通網の構築やMICE(マイス)と称される大規模会議の誘致といった、熊本の都市機能の向上につながる起点としての役割も求められている。

 サクラマチは、再開発ビルの地下1階から地上5階部分の商業ゾーン。九州初を含む県内初出店が47店を数え、前身となる旧熊本交通センターや旧県民百貨店からの再出店も計17店に上る。

 高さ約4メートルのくまモン像がそびえる展望デッキや、シネマコンプレックス(複合映画館)も併設。旧交通センターを一新してビル1階に開業した「熊本桜町バスターミナル」の利用も含め、再開発を手掛けた九州産業交通ホールディングスは年間2500万人の来場を見込んでいる。

 さらにビル内には2300席のメインホールや会議室、展示ホールなどを備える「熊本城ホール」もあり、12月に全面開業する。本格的なコンベンション施設と大型商業施設、ホテルが一体となった複合施設は、これまで県内にはなかった。国内外からの集客につなげてほしい。

 一連の再開発事業は総事業費777億円に及ぶ一大プロジェクトだが、一方では懸念も拭えない。熊本都市圏で見込まれるオーバーストア(店舗過剰)だ。

 JR九州が熊本駅周辺に建設する駅ビルは、2021年春の開業予定。商業施設やオフィスなどを備えた県都の「副都心」づくりを目指している。20年2月に閉店する熊本パルコも、その後建設される複合ビルに新業態での出店を計画中。また、21年春には御船町で米国発の大型ディスカウントストア「コストコ」の開業が予定されており、郊外のショッピングセンターとの競争激化も見込まれている。

 サクラマチの場合は、バスターミナルとの相乗効果による集客が期待できよう。ただ、国内最大規模のターミナルという一点集中型の機能だけに頼っていては、旧交通センターとの違いは際立たず、一層の発展は見込めまい。

 熊本城、熊本駅も含めた中心市街地一帯、さらには熊本都市圏外の地域と、バス以外の交通機関との結節も充実させ、どのように回遊性を高めていくか。また、コンベンション施設では、グランメッセ熊本(益城町)など既存の施設とどう連携して、相乗効果を得るのか。賑わいを点から面に広げる知恵を絞りたい。