日産社長辞任 企業体質の改善が必要だ

9月13日 08:53

 日産自動車は、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が16日付で辞任すると発表した。取締役会が一致して辞任を求め、西川氏が受け入れた。事実上の解任である。

 6月の株主総会で続投が決まったばかりだったが、側近として支えた前会長のカルロス・ゴーン被告の不正を見逃した責任を問う声はやまず、経営手腕にも賛否が分かれていた。そこに自らの不正報酬問題が発覚し、辞任に追い込まれた形だ。

 日産は、2代続けて経営トップが不祥事で退場することになり、さらにブランドイメージが傷つくことになった。新しいトップの下で経営刷新を急ぎ、企業風土や体質の改善に取り組むべきだ。

 西川氏の辞任の引き金となったのは「ストック・アプリシエーション権(SAR)」と呼ばれる株価連動報酬だ。株価が事前に決められた水準を超えると、保有する株式数と株価に応じて差額を受け取ることができる。

 日産の調査によると、西川氏は秘書室に住宅購入のため報酬の増額を要請。担当役員が2013年5月に権利の行使日をずらし、同氏はその間の株価上昇により約4700万円多く受け取っていた。

 西川氏は制度の運用を部下に任せていたとして関与を否定し「意図を持った不正とは違う」と弁明した。しかし、誰からの指示もないまま担当役員が権利の行使日を変更するのは不自然で、株主やユーザーの納得は到底得られまい。

 ほかの複数の取締役や執行役員にも報酬が上乗せされていた可能性も指摘されている。経営トップとその周辺に報酬を巡る不正が広がっていたことになり、日産が抱える「病根」は深刻だ。

 株価と報酬を連動させ、業績向上に向けて役員を鼓舞する手法自体は悪いことではない。とはいえ、恣意[しい]的な運用が許されていたのなら、経営規律の緩みを指弾されても仕方あるまい。

 経営危機脱出と急速な業績回復へと突き進んだゴーン時代の「負の遺産」だとしても、こうした企業風土のままでは、再建や信頼回復はおぼつかないのではないか。

 北米や欧州では値引き販売などでブランド力が低下し、拡大路線の反動に苦しんでいる。国内でも19年4~6月期の連結営業利益は前年同期比98・5%減と不振を極め、大幅な人員削減を含めたリストラも計画されている。

 日産は、西川氏の後継者選びの作業を本格化させている。日産株の4割超を握るフランス大手ルノーとの関係見直しや業績回復など、直面する課題に対応できる人材を慎重に見極める構えだ。作業を担うのは社外取締役6人でつくる指名委員会で、10月末までの選定を目指すという。

 まずは経営を正常化し主戦場である電気自動車(EV)や自動運転技術などの開発に経営資源を投入できる態勢づくりを急ぐ必要があろう。新たな経営トップにはゴーン時代と決別し、日産をゼロからつくり直す気概が求められる。