香港デモ3カ月 粘り強く対話の糸口探れ

9月11日 08:10

 香港で「逃亡犯条例」改正案に反対する「100万人デモ」が起きて9日で3カ月になった。

 香港政府トップの林鄭月娥行政長官は先週、改正案撤回を正式表明したものの、民主派の要求は普通選挙の実現などに広がっており、事態収拾の気配は見えない。

 暴力をともなう衝突の激化と長期化は、香港社会だけでなく、国際的にも大きな損失につながりかねない。香港政府はもちろん、民主派も暴力を避け、粘り強く対話の道を探るべきだ。

 改正案は、香港で拘束された容疑者を中国本土などに引き渡せるようにする内容。「司法の独立が失われる」として6月、民主派などによる大規模な反対デモが始まると、香港政府は改正の無期限延期を発表した。しかし林鄭長官が改正案の撤回には応じなかったこともあり、デモは長期化。警察の強権的な制圧に対し、デモ隊の一部が立法会に突入したり、空港を占拠したりするなど過激化した。

 民主派は、(1)改正案撤回(2)警察の「暴力」に関する独立調査委員会の設置(3)デモを「暴動」とした定義の撤回(4)逮捕されたデモ参加者の釈放(5)普通選挙の実現-の「五大要求」を掲げている。事実上、中国の意向で選ばれた長官の辞任を求める声も根強い。

 1997年の英国からの返還の際、中国は香港に「一国二制度」と「高度な自治」を約束。2007年に中国指導部は、17年までの普通選挙導入を決めた。しかし、現在の習近平指導部は14年、行政長官選挙で民主派の立候補を事実上排除する制度を導入。これに対し、民主派などは大規模デモ「雨傘運動」で抵抗したが、具体的な成果がなく挫折した経緯がある。

 逃亡犯条例に端を発した今回の抗議デモは、中国本土の非民主的な政治制度にのみ込まれる「中国化」への強い抵抗感の表れとも言えるが、この3カ月でさらに民主化を求める運動に発展した。

 こうした動きについて習指導部は8月、「中国共産党を狙った革命」と認定したとされる。恐れているのは、香港が独立を目指し、中国の政権転覆を狙う勢力の拠点となることだろう。習指導部が、民主派の政治的自由の拡大につながる選挙制度改革を簡単に認めるとは思えず、香港の民主化運動は長期化する可能性がある。

 現地報道によると、8月に香港を訪れた観光客は前年比で40%減少。世論調査では市民の約49%が香港政府と民主派の「双方が譲歩すべきだ」と回答している。観光や小売業を中心に経済や市民生活への影響が深刻化すれば、運動支持の潮目も変わりかねない。

 林鄭氏は「難局から一歩踏み出すことを望む」と対話の枠組みづくりを改めて提起した。ただ、事態を収束させ「一国二制度」と「高度な自治」を確かなものとするには、林鄭氏がさらに民主派の訴えに耳を傾け妥協点を探る以外にあるまい。民主派も過激な行動に走って中国政府に政治介入の口実を与えてはならない。非暴力の姿勢で対話を模索してもらいたい。