GDP年1.8%増 景気先行きは楽観できず

8月11日 07:52

 消費税増税を10月に控え、景気指標として注目された2019年4~6月期の実質国内総生産(GDP)は、内需が外需の不振を補いプラス成長を維持した。しかし内外に不安要素は多く、先行きは楽観できない。政府、日銀は景気失速も念頭に注意深く見守り、必要となれば直ちに政策を発動できるよう準備しておくべきだ。

  内閣府が発表した4~6月期GDP速報値は、物価変動を除く実質で前期比0・4%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算では1・8%増だった。

  このうち個人消費は前期比0・6%増(前期は0・1%増)、企業の設備投資は1・5%増(同0・4%増)と、いずれも3四半期連続で増加した。住宅投資は0・2%増で、内需は成長率の0・7ポイント押し上げに寄与した。

  輸出は米中貿易摩擦などを背景に0・1%減(同2・0%減)と2四半期続けての減少。輸入は前期(4・3%減)の反動で1・6%増と大幅に回復したため、輸出から輸入を差し引いた外需は成長率を0・3ポイント押し下げた。

  数字を見る限り、個人消費など堅調な内需が成長をけん引しているが、その実態は改元に伴う10連休を中心とした「特需」の側面が強い。長続きは期待できまい。設備投資も人手不足に対応した機械導入などで活発だったが、経済環境が不透明さを増す中、これが今後も続く保証はない。

  一方、不安材料として大きいのは深刻化する米中貿易摩擦だ。米政権は対中制裁関税の発動表明に続き中国を「為替操作国」に認定し、貿易摩擦は通貨政策に波及した。あおりで世界経済が減速すれば日本経済に深刻な打撃が及ぶのは避けられない。

  加えて10月の消費税増税が個人消費を冷やし、景気を下押しする懸念である。特に増税前に大きな駆け込み需要が生まれ、その反動で一気に景気が悪化する展開には警戒が必要だ。

  飲食料品などの税率を据え置く軽減税率が導入され、住宅ローン減税の延長やキャッシュレス決済時のポイント還元など“大盤振る舞い”の負担軽減策があるため、政府内には楽観論もある。しかし油断は禁物だろう。

  「プラス成長」が、国民の生活実感とはかけ離れていることも気掛かりだ。足元の景気は個人消費を中心に弱く、勢いに欠けると見る専門家は多い。年金給付額の抑制などで可処分所得は伸び悩み、家計が消費に回せるお金が限られている現状が背景にある。消費税増税がこうした家計に追い打ちをかけ、一気に景気を減速させる可能性も否定できまい。

  逆風をどう乗り越えていくか。日銀は、必要となればちゅうちょなく追加緩和する方針を示している。しかし、これまでデフレ脱却を掲げて財政・金融政策で対応を重ねてきただけに、残された手段は多くはない。政府の役割が重要になってこよう。景気を慎重に見極めた対策を機動的に講じていく必要がある。