最低賃金引き上げ 地域間格差解消が不可欠

8月3日 09:19

 中央最低賃金審議会は2019年度の地域別最低賃金の改定について全国平均の時給を27円引き上げ、901円とする目安をまとめ答申した。

 02年度に時給で示す方式となって以降、最大の引き上げで、全国平均の時給が900円台に達したのは初めて。この4年間に計100円を超す引き上げとなり、働く人の所得増に一定の効果が期待できよう。とはいえ、日本の最低賃金は世界的に見て低く、さらなる底上げが重要となる。

 最低賃金は、正社員やパート、アルバイトら全ての労働者を対象とした賃金の下限額。都道府県ごとに時給で定められる。法律上の強制力があり、これを下回ると企業に罰金が科される。

 このため、人件費増を避けたい経営側と、所得拡大を目指す労働側の主張が毎回激しく対立。今回は、深刻化する人手不足や10月に消費税増税を控えていることなどから、前年度の引き上げ額を上回る水準で決着した。

 所得増を消費につなげ「経済の好循環」を生む狙いから、政府は6月にまとめた経済財政運営の指針「骨太方針」に全国平均の時給を「より早期に千円になることを目指す」と踏み込んだ。賃上げ加速を求める政府のそうした姿勢も答申に反映されたとみられる。

 中央審の答申は、地域の経済情勢などに応じてA-Dの4ランクに分類して提示。引き上げの目安額を、東京などのAは28円、京都などのBは27円、福岡などのCと熊本などのDは26円とした。最高額の東京が1013円、神奈川も1011円と初の千円超えとなる一方、熊本など17県は700円台にとどまる見通しだ。

 この結果、最も低い787円の鹿児島と東京との差は現在の224円から226円に拡大。鹿児島に次ぐ低水準である788円の熊本と東京の差も223円から225円に広がる。

 中央審で、労働側は「800円以下の地域をなくすべきだ」と主張したが、地域間格差を埋めることはできず、地方にとって厳しい答申となった。

 地域間の開きは依然として大きく、このままでは高賃金を求めて地方からの人口流出に拍車がかかる恐れもある。「東京一極集中」是正と地方経済活性化のためにも、地方と大都市圏との賃金格差解消を急ぐ必要がある。

 中央審の答申を受け、今後は各地方審議会で新しい最低賃金額を決めることになる。熊本でも早ければ5日にも決定する。目安となる26円を上回る引き上げが実現するか審議会の判断が注目される。

 ただ、最低賃金の引き上げは経営を直接圧迫し、特に地方の中小企業には痛手となる。専門家からは、急激に最低賃金を引き上げると企業の事業縮小や廃業・倒産を引き起こし、逆に雇用が失われるとの指摘も上がっている。

 地方の最低賃金引き上げは、中小企業への支援拡充とセットで取り組む必要がある。政府はそのための環境整備を進めるべきだ。