有志連合構想 米国追従は緊張を高める

7月30日 09:08

 トランプ米政権が、イラン沖のホルムズ海峡周辺を航行する船舶護衛のための「有志連合」参加へ、日本の決断を求めている。

 有志連合は、ホルムズ海峡周辺で日本タンカーなどが攻撃された事件を踏まえ、通過する民間船舶の安全確保を目的に、イランと対立を深めるトランプ政権が構想。各国に監視に必要な艦船の派遣や資金拠出などを求めている。

 ポンペオ米国務長官は先週、「ホルムズ海峡を通じて原油や他の製品を運んでいる全ての国は、自国の利益だけでなく、自由で開かれた航路の基本的な考えを守るために参加する必要がある」と主張。日本のほか、英仏独や韓国、ノルウェー、オーストラリアの名前を挙げて参加を促した。

 しかし、法的拘束力のある国連安全保障理事会の決議などは経ておらず、今のところ日本政府は自衛隊派遣に否定的な姿勢を崩していない。戦争放棄を定めた平和憲法を持つ国として、国際紛争につながりかねない同構想への参加に慎重になるのは当然だろう。

 ましてやイランは日本の友好国である。事実上の対イラン包囲網とも言える有志連合への日本の参加は当然、イランには背信に映ろう。対話での緊張緩和を目指してきた日本のこれまでの外交姿勢とも相いれない。政府はトランプ政権に対しこうした日本の立場を粘り強く説明していく必要がある。

 とはいえ、日本にとって輸入原油の約8割が通過するホルムズ海峡はエネルギー供給の生命線だ。安全航行が確保できなければ、国民生活への影響は避けられない。同盟国への負担要求を強めるトランプ政権の圧力をかわすのも容易ではなく、政府内では何らかの協力や貢献を迫られるのではないかとの警戒感が強まっている。

 米側が自衛隊の参加を求めた場合、選択肢となり得る法的根拠は安全保障関連法などとなる。

 安保関連法は、密接な関係にある他国が攻撃を受けて日本の存立が脅かされる場合を「存立危機事態」と定め集団的自衛権の行使を認めている。ただ、岩屋毅防衛相は、タンカー攻撃は存立危機事態に当たらないと表明している。

 自衛隊法に基づき治安維持などを目的に実施する「海上警備行動」や海賊対処法を根拠とした「海賊対処行動」なども想定されるが、適用にはハードルが高い。

 日本は1991年の湾岸戦争で、130億ドルを負担しながら「人的貢献をしなかった」と批判を集め、2001年の米中枢同時テロ後、テロ対策特別措置法を制定し、インド洋で米英などの艦船に給油を行った。今回も特措法の制定が選択肢に入ろうが、米国追従は緊張を一層高める恐れがある。

 そもそもイランとの核合意から一方的に離脱し、緊張を高めたのはトランプ政権だろう。各国が有志連合への参加に慎重なのもそのためだ。紛争の解決は本来、国連決議に基づくべきだろう。日本政府は米国、イラン双方に対話を促すとともに、国連を中心とした解決に努力してもらいたい。