日韓関係悪化 着地点を見いだす努力を

7月28日 09:23

 元徴用工訴訟を巡る対応で、日韓両政府の間で激しい非難の応酬が繰り広げられ、経済や民間交流の分野にまで悪影響を及ぼしつつある。両政府は、このまま出口の見えぬ対立をエスカレートさせていくつもりなのか。双方共に冷静な外交を取り戻し、着地点を見いだす努力をすべきだ。

 日本が一部の対韓輸出品目で手続きを厳格化したことについて、ジュネーブで行われた世界貿易機関(WTO)の一般理事会でも、日韓双方の議論はかみ合わないまま終わった。参院選中には、河野太郎外相が韓国の南官杓[ナムグァンピョ]駐日大使の説明に「極めて無礼だ」と声を荒らげて抗議したが、直後に韓国外務省幹部は河野外相の態度こそ「無礼」と表明した。

 さらに日本は、8月2日にも安全保障上の輸出管理で優遇措置を取っている「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する見通しだ。

 悪影響は自治体交流事業の中断や旅行の自粛、韓国での日本製品排除運動などに広がっている。県内関係でも、韓国の格安航空会社(LCC)が、熊本空港と韓国南部の大邱[テグ]国際空港を結ぶ定期便の運休を決めた。

 もつれた糸を解きほぐすには、まずは韓国が元徴用工訴訟で日本に丁寧な説明をする必要があろう。1965年の国交正常化に際し締結された日韓請求権協定を否定するような韓国最高裁の確定判決と協定の関係を明確にすべきだ。この点を曖昧にしたままでは、「協定を守らない国際法違反の状態を放置している」とする日本の根深い不信感を解消することはできない。

 日韓対立を横目に、北朝鮮は短距離弾道ミサイル2発を発射。韓国は領有権を主張する島根県・竹島(韓国名・独島[トクト])周辺でロシア軍機が領空侵犯したとして警告射撃する事態も起きた。日韓対立が続けば、朝鮮半島を中心とする北東アジアの安全保障環境が一気に不安定化しかねない。

 気になるのは、安倍晋三、文在寅[ムンジェイン]両政権がともに自身の支持基盤固めも意識し、国内向けに強硬姿勢をアピールしているように見えることだ。内向きの論理でそれぞれの国民感情をあおれば、出口はさらに遠ざかる。その不毛さを両首脳は自覚すべきだ。