2019参院選・県内 多様な声聞く「受け皿」に

7月22日 09:25

 熊本選挙区では、自民党現職の馬場成志氏(54)が無所属新人の阿部広美氏(52)と「NHKから国民を守る党」新人の最勝寺辰也氏(38)を退け再選を果たした。

 熊本日日新聞社が14~16日に実施した電話世論調査では、投票する際に最も重視する政策として、「年金・医療・介護」「少子化対策・子育て」「消費税」に続く4位に「地方活性化・人口減対策」が入った。有権者は暮らしに直結する争点に加え、熊本地震からの復旧・復興の途上にある地域にとって即戦力となり、活性化をけん引する候補者かどうかにも注目したようだ。

 そうした中、馬場氏は復旧・復興に与党の一員として取り組んだ実績を強調。「県民の声を政府や国会につなぐパイプ役を果たす」と繰り返し訴えた。「復旧・復興はいまだ道半ば」という自省も込めた主張は、地域の現状に不満や不安を抱く有権者にも一定の支持を得た。

 一方、野党統一候補として2回目の国政挑戦となった阿部氏は、10月に迫った消費税増税について「大企業や富裕層に応分の負担をしてもらえれば必要ない」と訴えるなど、徹底した安倍政権批判を軸に選挙戦を展開。最低賃金の引き上げなどにも触れ、支持拡大を目指した。

 しかし、3年前の参院選と比べ、野党の足並みの乱れは明白だった。前回の選挙戦を主導した民進党は立憲民主党と国民民主党に分裂。その立民県連は阿部氏擁立を巡り内部対立し、国民県連も支援にとどめた。さらに、いったんは阿部氏推薦を出した連合熊本が後に取り消す事態も生じた。県内の非自民系の地方議員らが地域政党「くまもと民主連合」を設立して支援したが、野党共闘への疑問符は消えず、無党派層の取り込みも不発に終わった。

 その結果、投票率は47・23%にとどまり、過去最低だった前回の51・46%をさらに4・23ポイント下回った。有権者を投票に動かす選択肢を提供できない政党や政治家の責任は重い。

 「くまもとの声をそのまま発信」と訴えて当選した馬場氏。単に政権の持ち駒として働くだけでは期待外れだ。政権を支持しない県民の声も丁寧に聞き取り国政に届ける、器の大きな受け皿となってもらいたい。

 野党各党や支持組織にはゼロからの出直しを求めたい。候補者選びや主導権争いで互いを責め合うような醜態はもう見たくない。県内の隅々まで支持の輪を広げ、広範な民意を受けとめるには何が必要か。直ちに議論し、行動に移すべきだ。