人口減少問題 少子化対策真剣に議論を

7月19日 09:02

 総務省が10日発表した人口動態調査によると、今年1月1日現在の国内の日本人は1億2477万6364人。前年に比べ過去最大幅の43万3239人減少し、10年連続のマイナスとなった。

 厚生労働省が6月に発表した2018年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの推定人数)も1・42で3年連続で低下。生まれた赤ちゃんの数は統計開始以来最少となり、死亡者が増えて自然減は過去最多となっている。

 3年前の参院選、安倍政権は「1億総活躍社会」の目標のもと、25年度までの「希望出生率1・8」達成を打ち出した。推移を見る限り、少子化対策の効果は全く上がっていない。人口減少に歯止めがかからないばかりか、むしろ拍車がかかっている印象だ。

 国内総生産(GDP)の6割は個人消費が占めている。このままではGDPだけでなく、年金制度や地域社会にも大きな影響を及ぼすことが懸念される。

 地域によっては、既にコミュニティーや行政サービスの維持も困難になっている。人口減への対応は地方ほど待ったなしの状況だ。熊日の参院選に関する電話世論調査を見ても、少子化や人口減対策に対する有権者の関心が高い。

 安倍晋三首相は人口減少を「国難」とするが、今回の自民党の参院選公約には、出生率の文字さえ見当たらない。待機児童解消や幼児教育・保育無償化といった子育て支援には触れられているが、少子化対策についての具体的な目標はない。一方の野党も、この問題を重点的に取り上げて政策を競い合っているようには見えない。

 年金や憲法改正、消費税増税といった争点に論戦はかすみがちだ。人口減少のペースを少しでも緩和し、地方の活性化を図るためにも与野党は、中長期的な課題として少子化対策を真剣に論じるべきだ。

 それには、まず若者の高い未婚率を考えなければならない。非正規雇用などの経済的な理由で結婚や出産を諦めている人は多い。将来の見通しを立てやすくするためにも、正社員として働く若者を増やすことが有効だ。企業には出産や育児休暇を取りやすい環境づくりをさらに進めてほしい。

 人口の減少で一つの地方自治体が全ての行政サービスを実施することは難しくなっている。行政サービスの効率化も避けられない。政府の地方制度調査会が打ち出しているように、医療、福祉、防災などの分野ごとに市町村が連携することも不可欠になる。

 中心市街地に医療・福祉や商業などの都市機能を集める「コンパクトシティー」といった仕組みづくりも急ぐ必要があろう。行政コストを削減するとともに中心市街地を活性化させる狙いがあり、熊本市など県内6市町を含む全国約440市町村が計画を推進中だ。ただ、そうした政策からこぼれ落ちる人たちへの目配りも忘れてはならない。