原発・エネルギー 政策のちぐはぐさが目立つ

7月18日 08:56

 暮らしや産業を支えるエネルギーの在り方を考え、国の将来を語る上で、2011年の東京電力福島第1原発事故後、課題となっている原発再稼働は避けては通れない重要なテーマだ。各党は真摯[しんし]に問題に向き合い、政策論議を深める必要がある。

 経済政策を重視する安倍晋三首相は「原発ゼロを直ちに実現するのは責任ある姿勢とは言えない」と強調。12年の政権交代以降、原発の再稼働を後押ししてきた。

 18年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画でも原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、温室効果ガスを「50年に80%削減」する温暖化対策目標の達成へ、長期的な活用もにじませた。

 参院選公約で、自民党は「原子力規制委員会によって世界で最も厳しい規制基準に適合すると認められた場合は再稼働を進める」と明記した。

 対する野党のほとんどは脱原発を打ち出し、再生可能エネルギー導入目標の拡大などを公約に掲げる。国民の間に根強い原発への不信感を追い風に撤廃を訴え、世論の支持獲得を狙うが、論戦は低調なままだ。

 実態は政権の思惑通りには進んでいない。原発事故前、国内で54基を数えた原発だが、原子力規制委員会の審査を経て再稼働したのは5原発9基にとどまる。電源構成に占める原発の発電比率についても、30年度に20~22%とする目標に対し、17年度時点でわずか3・1%と大きな開きがある。

 原発の新増設は、国民の反発を意識して基本計画への明記を見送り、成長戦略の柱として推進したトルコや英国などへの海外輸出計画も軒並み頓挫した。使用済み核燃料を再処理し、活用する核燃料サイクル政策も手詰まり状態。青森県六ケ所村の再処理工場はトラブルなどで完成が遅れ続け、各地の原発で使用済み燃料の保管容量が限界に近い。政権のエネルギー政策はちぐはぐさが目立つ。

 それでも、与党の政権公約は現状を継続する内容だ。現在の政策を維持しながら、30年度の電源構成比率や温室効果ガスの排出目標の達成をどう可能にするのか。与党には、原発などの将来像を明確に示す責任がある。

 これに対し、野党は昨年、全原発の早期停止を掲げる「原発ゼロ基本法案」を国会に共同提出した。しかし、代替電源をどう確保するのかなど不透明さが否めない。

 福島第1原発事故後、日本は火力発電への依存が進み、17年度で8割に達した。石炭火力などは二酸化炭素(CO2)の排出が多く、欧州を中心に撤退の動きが強まっている。

 石炭や天然ガスなどの化石燃料依存から脱却し、安定かつ持続可能なエネルギー需給を実現することは、国民生活ばかりでなく、国際競争力や安全保障をも左右する重要な政策課題である。与野党はそのことを改めて肝に銘じ、議論を尽くしてもらいたい。