教員の労働時間 働き方改革にはまだ遠い

6月22日 09:20

 経済協力開発機構(OECD)が先に公表した昨年の国際教員指導環境調査で、日本の教員の労働時間は小中学校ともに世界最長だったことが明らかになった。

 文部科学省は1月、教員の残業の上限を原則「月45時間、年360時間」とする指針を策定。教員の働き方改革推進の機運は高まっているものの、指針実現にはほど遠いのが実態だろう。

 教員の労働環境はすでに受容限度を超えていると言っても過言ではあるまい。このままでは学校教育全体に悪影響を及ぼしかねない。何に時間をかけるべきか優先順位をきちんと見極め、日常業務や学校行事の短縮につながるよう見直しを急ぐ必要がある。

 昨年の調査では、中学校教員の場合、参加した48カ国・地域の平均労働時間が週38・3時間だったのに対し、日本は週56・0時間で、2013年の前回調査を2・1時間上回り、2回連続で世界最長となった。また、今回新たに調査に加わった小学校教員の労働時間も、15カ国・地域で最長の週54・4時間だった。

 (1)部活動を含む課外活動の指導時間(2)書類作成のような事務処理時間-の長さがともに世界最長で、文科省はこの二つが多忙の要因とみている。

 県内でも状況は同じだ。県教職員組合が昨年アンケートしたところ、回答のあった約2千人の7割以上が月45時間以上残業していた。新規採用教員に絞ったアンケートでは、午後9時前後に退勤する教員が約7割。土日を含め1カ月間ほとんど学校で仕事をしているという教員も約6割に上った。

 県教組は「新採の大半が部活動を担当し、通常の勤務時間内にはこなせない報告文書や計画書を放課後や土日に作成している」と分析。これを勤務とみなすと、残業時間は「過労死ライン」とされる月80時間を優に超えることになるとみている。

 こうした学校現場の現状が「ブラック職場」というイメージを定着させ、教員という職業が若者から敬遠される原因となっているとの指摘もある。県と熊本市の両教育委員会は受験者の負担減のため、今年の小学校教諭採用試験で実技を廃止・軽減したが、志願倍率は伸びなかった。

 教員の働き方改革を進めるため、県教委や市町村教委では、小学校部活動の社会体育への移行、タイムカードや業務時間外の留守番電話の導入などを進めている。しかし、「掛け声だけ」といった指摘もあり、業務改善効果は不透明だ。午前中でプログラムを終える「時短運動会」のような定例行事の見直しのほか、宿題やテスト採点のICT利用などさらなる改善、工夫が必要だろう。

 保護者や地域が「子どものため」として教員に雑多な用件を求めてきた結果、本業とは関係のないサービス的な仕事が増え続けてきた面も否めない。子どもの教育のために何が本当に必要か。教員の働き方改革は、その議論と切り離せない。