災害警戒レベル 避難行動の底上げも必要

6月18日 09:22

 災害リスクを分かりやすく伝え住民に避難の決断を促そうと「大雨・洪水警戒レベル」の運用が5月末から始まった。既存の仕組みを生かし、それぞれが示す危険度を包括的に整理し、5段階の警戒レベルで知らせるのが特徴だ。

 しかし、今月初めに大雨が降った各地での運用は、必ずしも具体的な避難行動につながらなかった。効果的な情報提供とともに、その先にある避難所の充実など、避難行動の底上げを急ぎたい。

 これまで大雨や洪水に関して気象庁が氾濫危険情報、自治体が避難勧告などをそれぞれ発信してきた。ところが昨年の西日本豪雨では逃げ遅れで多数が犠牲になり、被災自治体の多くが「避難勧告が避難行動につながらなかった」と分析していた。

 「避難勧告の後に避難指示が出るので、まだ余裕があると勘違いされているのではないか」といった声もあり、中央防災会議が「災害発生の恐れの高まりを直感的に理解しやすいものにすべきだ」と改善を求めていた。

 運用が始まった警戒レベルは、警報級の大雨が降る恐れが予報される「レベル1」から、既に災害が発生している状況で住民自身に命を守る最善の行動を求める「レベル5」まで5段階。自治体の避難勧告や避難指示、気象庁の土砂災害警戒情報などを包括する「レベル4」は災害発生の恐れが極めて高く、住民に「全員避難」を呼び掛ける段階となっている。

 ただ、警戒レベルの発信は避難行動の入り口に過ぎない。少子高齢化が進む中で、高齢者や障害者の避難を十分サポートできないケースは多く、「床に雑魚寝」「洋式トイレがない」といった避難所の環境も障壁になりやすい。熊本地震でも、課題を抱える避難所を避け、車中泊や軒先避難を続けた人は多かった。避難行動を促すには、安心できる避難所づくりも欠かせない要素だろう。

 その上で大切なのは、市民一人一人が災害や避難への意識を高めることだ。人は危機的状況でも、「自分だけは大丈夫」「事態はまだ正常だ」と思い込む「正常性バイアス」と呼ばれる心理状態に陥りやすい。まずは互いに声を掛け合うことを、命を守る行動につなげる一歩にしたい。