タンカー攻撃 国連の主導的役割に期待

6月16日 09:19

 イラン沖のホルムズ海峡付近でタンカー2隻が攻撃を受けたことを巡り、米国とイランが非難合戦を強めている。

 ホルムズ海峡は、世界で海上輸送される原油の約3割が通過する要衝だ。民間船舶への攻撃は許されず強く非難されなければならない。このまま情勢不安が広がれば、原油価格が上昇して世界経済に深刻な影響が及ぶ可能性がある。

 海域周辺の緊張がさらに高まり、紛争に発展することのないよう、国際社会は海域の安全と危機回避に結束して取り組むべきだ。

 事件は、安倍晋三首相が米国と激しく対立するイランの最高指導者ハメネイ師と初会談したその日に起きた。米軍は、東京の海運会社が運航するタンカーにイラン革命防衛隊の小型船が接近し、船体から不発の爆発物を取り除く様子だとする映像を公開。トランプ米大統領は「イランがやった」と断定した。これに対し、イランのザリフ外相は「米国が事実に基づいた証拠も状況証拠もなしに、イランのせいにしようとした」として関与を真っ向から否定している。

 海運会社の社長は「乗組員は飛来物でやられたと言っている」と説明し、機雷などによる攻撃を受けたとの見方を強く否定。専門家の間でも「白昼の目立つ時間帯に、大人数が乗った船を犯行現場に派遣するだろうか」と米側の主張を疑問視する見方がある。

 トランプ政権がタンカー攻撃発生から異例のスピードで“関与の証拠”を公開したのは、国際世論に「イランの責任」を訴え、国際社会でイラン包囲網を構築する思惑とみられる。国連のグテレス事務総長は「真実を知り、責任を明らかにすることが非常に重要だ」と述べ、独立した調査の必要性を訴えた。真相解明と危機回避へ国連の主導的役割を期待したい。

 ホルムズ海峡は、原油輸入のうち9割近くを中東に依存する日本にとっても要衝だ。日本政府は、同盟国米国と友好国イランとの板挟み状態だが、今回の事件で「仲介役」としての役割はかえって大きくなったとも言える。

 28、29日に大阪市で20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開かれる。議長国である日本は、参加国と連携し、中東の緊張緩和に主導権を発揮してもらいたい。