G20経済閣僚会議 存在意義が問われている

6月11日 09:22

 日本が議長国を務める20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が8、9の両日、福岡市で開かれた。共同声明では、景気減速回避に向けた国際連携を打ち出したものの、同日に茨城県つくば市で開催されていたG20貿易・デジタル経済相会合の閣僚声明とともに、「保護主義と闘う」との文言は盛り込まれなかった。

 米中の貿易摩擦が激化し、世界経済への影響が強く懸念される中、二つの経済閣僚会議が反保護主義の姿勢を明確に示せなかったのは残念だ。主要理念である自由貿易体制の維持が揺らぎ、G20の存在意義自体が問われていることを認識し、参加国は今月下旬に大阪市で開かれる首脳会議(G20大阪サミット)に臨んでもらいたい。

 財務相・中央銀行総裁会議の声明は、世界の経済成長は今年後半ごろから持ち直すと望みをつなぎながらも、米中摩擦の影響を念頭に、「成長は低位でリスクは依然として下方に傾いている」と指摘。「強固な成長」とした昨年12月のG20首脳宣言から大きく後退した。

 にもかかわらず、昨年に続き、声明に反保護主義の文言が盛り込まれなかったことは、G20の機能不全がさらに進んでいる現状を印象づけた。

 成長持続については、各国が財政・金融・構造改革の政策手段を総動員することを再確認したが、あくまで対症療法であろう。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は会議後の声明で、「金融・財政政策の余地は過去に比べ制限されている」と限界を指摘している。

 ただ、共同声明では間接的ではあるが、米中摩擦緩和にもつながる個別の取り組みでいくつかの前進も見られた。

 収支不均衡には、関税障壁だけでなく、各国の政策や経済構造といった複合的要素が絡んでいると分析。実情に即した是正策で協力すべきとし、2国間交渉で貿易摩擦解消を狙うトランプ米政権を暗にいさめた。インフラ投資の新原則でも、中国の過剰融資を念頭に、途上国の債務返済を持続可能にすると強調した。また、貿易相会合でも世界貿易機関(WTO)改革の必要性で一致した。

 米中摩擦は安全保障政策も絡んだ二大国の覇権争いの様相を見せており、その解決は容易ではない。しかし、G20の参加国が、大阪サミットで予定されているトランプ大統領と習近平国家主席とのトップ会談を、ただ見守るような姿勢では消極的に過ぎよう。

 サミットでは、米中摩擦というリスクの本丸にしっかりと踏み込んで論議すべきだ。経済閣僚会議で一致できた個別の取り組みをステップに、安全保障に絡む問題はいったん棚上げにした上で、米中貿易協議の合意形成を促す工夫が必要だろう。

 特に、議長を務める安倍晋三首相の役割は重要だ。G20参加各国の協調体制を再構築し、多国間連携による問題解決の道を粘り強く探ってもらいたい。