英首相退陣へ EU離脱の是非再検討を

5月26日 09:15

 英国のメイ首相が24日、欧州連合(EU)離脱を巡る混迷の責任を取って辞任を表明した。2016年の就任以来、EU離脱を主導してきたメイ氏だったが、議会からの支持を得る見通しが立たない上に与党内の批判も強まり、道半ばで退陣に追い込まれた。

 今後のかじ取りは7月中にも就任見通しの次期首相の手に委ねられる。与党保守党の党首選には10人以上が立候補を予定しており、メイ氏よりも厳しい離脱方針を唱える強硬派が人気を集めている。

 しかし、トップが誰に代わっても、離脱を巡ってこれまで結論が出せなかった議会の構成は変わらない。EUとの交渉を仕切り直すことに伴う混迷の長期化や、市民生活を混乱させる「合意なき離脱」を回避するには、英国の政界全体が冷静さを取り戻し、離脱の是非を含め再検討する必要がある。

 EUとの離脱合意案は既に下院で3度否決されている。期限の10月までにEU側も同意する案を下院が承認しなければ、離脱撤回以外の道は「合意なき離脱」しかなくなる。それには英国内にも反対論が強く、EUも望んでいない。日本を含む世界経済にも多大な悪影響が及ぶ恐れもある。

 メイ氏は当初、EUとの合意案に沿った離脱関連法案を6月上旬に下院採決にかける方針だった。しかし、EU残留派からの支持を得るために条件付きで2度目の国民投票を容認する方針に傾いたため、与党の離脱強硬派や主要閣僚らが一斉に反発。採決は延期を余儀なくされた。

 EUは合意案の見直しを一貫して拒んでおり、妥協点を探る野党との協議も決裂したままだ。下院では代替策を探る投票も2度行われたが、離脱撤回、合意なき離脱、2度目の国民投票などの案はどれも否決されている。

 しかし、こじれた局面を打開するには、国民投票の再実施や解散総選挙も視野に入れるべきではないか。一連の混乱で支持率低迷にあえぐ保守党は後ろ向きだが、前回の国民投票で真っ二つに割れた国内の民意をもう一度問い直すためにも必要だろう。英領北アイルランドの国境管理など、EUとの交渉過程で初めて浮上した問題について国民に説明することにもなる。