「戦争」発言 平和主義突き崩す暴言だ

5月16日 09:42

 丸山穂高衆院議員が、北方領土返還を巡り、戦争を解決手段とするかのような発言をした。憲法の大原則である平和主義を根幹から突き崩し国益も損なう、失言の域を超えた暴言である。即刻、議員辞職すべきだ。

 発言は、北方四島ビザなし交流で国後島を訪問中の11日に元島民の訪問団長に対してなされた。「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と質問し、「戦争はすべきでない」などと返答した団長に、「戦争しないとどうしようもなくないですか」と、重ねて述べたという。

 丸山氏は13日の会見で「他の方と話している中で、そういう意見もあり、どうお考えか聞きたかった」と釈明したが、やりとりの流れを読めば、自身がそう考えているとしか受け取れない。

 「(戦争を)国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている憲法9条の理念を、国民の代表である国会議員自らがないがしろにする言動だ。加えて、ロシアの現島民らとの交流で、信頼関係の構築を重ねてきた元島民たちの努力を踏みにじるものでもある。戦争を体験したからこそ平和的な北方領土返還を望む元島民たちとは対照的に、戦争を知らない世代の丸山氏の言葉は、あまりにも軽い。

 北方領土返還と平和条約締結を目指している日ロ交渉にも悪影響を与えるのは必至だ。事実、ロシア上院の国際問題委員長が早速、「日ロ関係の流れの中で最もひどい(発言だ)」と批判した。

 ロシア側の返還に反対する勢力の姿勢や世論が厳しくなるのは確実で、ただでさえ難航している交渉はより一層難しくなるだろう。

 丸山氏が所属していた日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は当初、「厳重注意だ」として丸山氏の進退には言及していなかったが、14日になって除名処分にし議員辞職も求めた。

 しかし、丸山氏は無所属で議員活動を続ける意向を示している。党籍を失っただけで済む話ではあるまい。維新自らが主導して衆院での辞職勧告を進めるべきだ。そこまでしなければ、同党の憲法改正への積極的な姿勢も、平和主義を軽視するものではないか、との疑念を招きかねないだろう。