4月24日付

4月24日 09:22

 本を開けることは汽車に乗ってバケーションに出掛けるようなもの-。といわれればさて、子どもの頃、心弾むような本は何冊読んだろう。昨日は「子ども読書の日」、5月12日まで「こどもの読書週間」だ▼冒頭は『アウシュヴィッツの図書係』(アントニオ・G・イトゥルベ著、集英社)の一節だ。第2次大戦中、ナチス・ドイツの強制収容所では教育はおろか本も禁止された。しかし収容者らは子どもたちのために秘密の学校を開いていた▼古本がわずか8冊の図書館もあった。本は服の内側、秘密のポケットに忍ばせて運び、貸し出し、一日が終われば再び隠す。命懸けの役割を担って8冊を守り、奇跡的に生き延びた少女の実話に基づく▼世界地図を開くと、死と隣り合わせの収容所を出て自由に旅が楽しめた。図書館には無かった『ニルスのふしぎな旅』なども大人が記憶を頼りに語り聞かせてくれ、心がときめいた▼次々と亡くなる周りの子どもたち。狂気と絶望の収容所で図書館の意義を見失いかけるが、本の世界に入り込んだ子どもたちの目に輝きが戻ったことを思い出し、図書館は心に明かりをともすマッチ箱だと気付く。自由や命の尊さ、極限でも人間らしさを失わせない本の力を教える▼狂気がまた世界を恐怖に陥れた。スリランカの連続爆破テロの犠牲者は300人超。国際的な過激派による自爆テロとの見方が強い。貧困などを背景に過激思想に染まる若者が後を絶たない。時を戻し、彼らの元に心温まる本を届けられないか。