4月21日付

4月21日 09:20

 早朝や夕刻に歩道を駆ける市民ランナーの姿は珍しくなくなった。健康づくりや娯楽を目的とするランニングブーム。季節を問わず全国各地で数多くの大会が催され、スポーツがずいぶん身近になったと感じる▼来年の東京五輪・パラリンピックが待ち遠しい、という人も少なくないだろう。詳しい競技日程が発表されチケットの受け付けも間もなく始まる。出場を目標に挙げていた有力選手たちのコメントも、活躍を誓う具体的な内容に変わってきた▼五輪をめぐる物語をテーマにしたNHK大河ドラマ「いだてん 東京オリムピック噺」[ばなし]は、熊本が生んだ日本人初の五輪マラソン選手、金栗四三を描いている▼ドラマ制作の拠[よ]り所とされるのが、元熊日記者の長谷川孝道[こうどう]さんが本人に取材して著した『走れ二十五万キロ「マラソンの父」金栗四三伝』(熊本日日新聞社)である。1960年から熊日夕刊に131回連載した原稿を元に発刊された▼自らも学生時代に陸上競技に打ち込んだ長谷川さんは、強い意志と工夫で道を切り開いた金栗とは通じ合うところが多かったようだ。「カナクリスト」を自認し、折に触れ功績を紹介し続け先日、87年の生涯を閉じた▼『走れ二十五万キロ-』復刻版(2013年刊)のあとがきに「このところ続くスポーツ指導者の暴力、体罰事件や乱行の報道は悲しい」と書き残した。マラソンの父とスポーツを愛した記者は泉下で再会し、いつまでもその魅力を語り合い、スポーツ界の改革を見守っていくことだろう。