4月19日付

4月19日 09:16

 タケノコが次々出る。好きなだけ掘って-。ご近所に誘われ、くわを担いで出掛けた。タケノコは地下茎から真っすぐではなく、曲がって伸びる。その方向を見極めるのがこつだ▼頃合いの大きさを2、3本頂く。ゆでてあくを抜き、食卓へ。薬味はタケノコを待っていたかのように芽吹くサンショウ。組み合わせの妙である。海の幸なら旬のワカメやメバルと一緒に煮るのも逸品だ▼一般にタケノコとして喜ばれるのはモウソウチク。国内最大の竹だが原産は中国で江戸時代に渡来した。竹は軽く粘りがあり裂くこともできる。建築や土木資材として重宝され全国に広まった▼もちろんマダケやハチクなど在来種は多く、より古くから暮らしに使われてきた。生活用の箕[み]、笊[ざる]、筒、櫛[くし]、漁具では簗[やな]、魚籠[びく]、楽器の笛、笙…[しょう]数ある竹冠の字に竹文化の一面がのぞく▼さて、現在である。竹製品の多くはプラスチック製に置き換えられ、暮らしは竹林から遠ざかった。田舎の竹山は高齢化と人口減で手入れが行き届かず、荒れた。はびこる竹はさながら厄介者だ▼見直す動きもある。竹林を整備し、下草を刈り、肥料を施し、高級なタケノコを大都市へ出荷する取り組みが各地で始まっている。竹林再生につながるのだろうか▼食の達人、北大路魯山人は、掘って間もないタケノコはゆがかずじかに煮て味を逃がさぬよう賞味すべき、と書いた。モウソウの後、ハチク、マダケと出て小味なところを見せてくれるのも楽しい、と。伝えていきたい竹文化の味だ。