3月17日付

3月17日 09:15

 よく晴れた日の夕刻から雷雨になったり、汗ばむほどの陽気の後に冷え込んだりと、このところ天気の変化が忙しい。日本付近を高気圧と低気圧が交互に通ることで生じる春の気候の特徴だ▼国や世界の経済活動の状態を示す景気にも、良い時期と悪い時期が交互に発生する景気循環の動きがある。ピークである「山」へ向かう拡大期と、底を指す「谷」へと下る後退期が繰り返されてきた▼循環の側面からみた今の国内景気は、山のタイミングを計る微妙な段階にあるようだ。15日に会見した日銀の黒田東彦総裁は景気は緩やかに拡大しているとしながら、輸出や生産は「弱めの動き」と警戒感をにじませた。内閣府が発表した景気動向指数は、現状を示す指数が1月まで3カ月連続で悪化し「下方への局面変化を示している」という▼一方で政府は、拡大期間が1月で74カ月となり戦後最長になったとの見解を維持する。統計の捉え方や立場によって判断は分かれている▼共同通信の世論調査では国民の84%は景気拡大の実感がないそうだが、いざ悪化へ転じると途端に身近に影響が及ぶ。すでに主要企業の春闘では先行き懸念からベア回答が前年を下回る例が相次いだ。企業に余裕がなくなれば労働改善の動きが鈍りはしないか、地方の停滞がさらに進まないか、不安は広がる▼天気の変化に雨具や服で備えるように、景気の動きを見極め必要な手を打つことは政府、日銀の大事な役割である。アベノミクスの成果を誇示するだけが経済運営ではない。