2月21日付

2月21日 09:35

 毎週日曜の夜8時、久々に家族とテレビの前に座る習慣を取り戻した。NHKの大河ドラマ『いだてん』である▼17日の放送では、金栗四三役の中村勘九郎さんが、オリンピックに出るための資金の調達に気をもみ、西洋マナーの習得に四苦八苦する姿がいじらしかった。そこに中村獅童さん扮[ふん]する兄が資金を工面して上京し…。笑って泣いて、宮藤官九郎さんの脚本の魅力が満載で、2人の熊本弁がひときわ耳に心地よかった▼それなのに、視聴率の方はどうも思わしくないという。東京を含む関東地区では2週連続で10%を割り、スポーツ紙などで残念な話題となっている。熊本の17日の視聴率は19・8%(ビデオリサーチ社調べ)と高く、好調を維持しているのが救いではあるが▼早いテンポで展開し、明治と昭和の時代を行き来する凝った構成が、これまでの大河ファンをかえって戸惑わせているらしい。そもそも取り上げた近現代史自体が大河になじみがなく、主人公も全国的知名度があるとは言えない▼とはいえ、それはNHKとしても覚悟の上だったのではないか。大河の枠を広げて新機軸を打ち出し、新たなファン層の開拓につなげる。それが狙いであろう。低視聴率は、パイオニアが直面する生みの苦しみと捉えたい▼思えば金栗さんもそうだった。走り方、練習法、用具に至るまで、お手本がない道を挫折を繰り返しながら前向きに切り開いた。ストックホルム五輪に向けて、ドラマもいよいよ前半の佳境に入る。頑張れ『いだてん』。