1月12日付

1月12日 09:16

 「逆ギレ」という言葉は、人気お笑い芸人ダウンタウンの松本人志さんが使い始めたのをきっかけに、1990年代に広まったらしい。本紙に初めて登場したのは、98年の記事だった▼『大辞林』によると、本来なら怒られるべき立場の人が、逆に怒り出してしまうこと。今では多くの国語辞典に収録されている。絶妙な言い回しで、日本人の感覚にはまったのだろう▼隣の国には同じ意味の言葉があるのかないのか。韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題で、韓国政府の不可解な強硬姿勢が目立つ▼「遭難した北朝鮮船の捜索のためだった」という当初の説明を覆して照射を否定した上、海自機が「威嚇的な低空飛行をした」と逆に謝罪を求める。筋の通った主張とは思えず、「逆ギレ」とあきれる日本人も多いのではないか▼元徴用工への賠償問題では、10日に文在寅[ムンジェイン]大統領が日本の対応を批判し、波紋が広がる。日韓の政治家は強い言葉で互いを非難し、ネットではむき出しの敵意が飛び交う。溝は深まるばかりだ▼とはいえ、最も近い隣国との付き合いだ。絶縁も殴り合いもするわけにはいかない。冷静に相手と向き合い、対話を重ねるしかないだろう。怒りに怒りで対抗したら泥沼にはまることは、古今東西の歴史が伝えている▼本紙のデータベースで調べると、「逆ギレ」は国内外の政治記事でよく使われている。それだけキレやすい政治家が増えているのかも。何人もの顔が浮かび、ぞっとする。