10月12日付

10月12日 09:21

 「ライバル」という言葉は、小学生の時に見ていたスポ根ドラマやアニメで覚えた。記憶に残るのは「巨人の星」の星飛雄馬と花形満だ。育った家庭環境が対照的だったことが、野球での対決場面をより盛り上げていた気がする▼現実の世界でも、互いの個性が対照的であるほどライバル関係は際立つ。「輪湖時代」を築き、1970年代の大相撲を盛り上げた横綱2人がそうだった。先日亡くなった輪島大士さんと、間もなく没後3年となる相撲協会の北の湖前理事長だ▼日大から鳴り物入りで角界に入った天才肌の輪島さんは、高級外車に乗り、著名人と交遊するなど華やかな生活を送った。これに対し、北の湖さんは中学1年の13歳で力士になったたたき上げ。土俵で見せるこわもてのイメージとは裏腹に、人情味にあふれていた。この2人が名勝負を展開し、横綱同士として千秋楽結びの一番には20回も臨んだ▼現役を引退した後の人生も極端に違った。輪島さんは、私生活のトラブルから37歳で角界を去り、プロレスラーやタレントなどに転身。北の湖さんは理事長を通算10年務め、最後まで角界の顔として活躍した▼音信が途絶えていた2人は、ある時雑誌の企画で対談した。「一緒に闘った土俵を忘れないでほしいんだ」と、北の湖さんはそれ以来毎場所の番付表を送り続け、輪島さんはそれを全て大事に保管していたという▼競うだけでなく、互いを認め合って良き友人になるのもライバルだろう。まさに「輪湖」がそうだったに違いない。