9月8日付

9月8日 09:05

 豊臣秀吉は伏見城築城中の文禄元(1592)年、数年前から続く地震を心配してこんな書状を認[したた]めた。<ふしみのふしん、なまづ大事にて候>。地震とナマズを結び付けた最も古い史料といわれるそうだ(倉地克直著『江戸の災害史』中公新書)▼いつの時代もそうだろうが、現代のナマズも情け容赦ない。余震とみられる揺れの中、安否不明者の必死の捜索が続く。停電や断水も、依然として広範囲にわたる。北海道で最大震度7を観測した地震は、甚大な被害をもたらした▼きのう自民党総裁選が告示され、連続3選を目指す安倍晋三首相と、3度目の挑戦となる石破茂元幹事長の一騎打ちとなった。事実上、首相を決める選挙である。相次ぐ地震や集中豪雨、台風といった自然災害に、どう対処するのかも注目点だ▼きのうの本紙によると、安倍氏は急激な気象変化に対応するため、河川改修や治水などのインフラ整備を3年で集中的に実施する方針という。これに対して、石破氏は防災省の創設を唱えている▼海外メディアも、災害が続く日本に関心を寄せる。風評被害が広がれば訪日客の減少につながりかねず、開幕まで2年を切った東京五輪にも悪影響を及ぼすかもしれない。異常気象が異常ではなくなったこの国で、防災は喫緊の課題である▼地下のナマズに言うことを聞かせるのは至難の業だろう。ならばせめて、次の総裁・首相は、地球温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」への復帰を米大統領に働き掛けてはいかがか。老婆心ながら。