9月2日付

9月2日 09:16

 段違い平行棒は女子体操だけにある種目で、なかなか難しい。高さが170センチと250センチという2本の鉄棒の間は直線で180センチ離れており、選手は2本の鉄棒を連続的に移動し、ひねりや回転などの演技を行う▼リオデジャネイロ五輪体操女子代表の宮川紗江選手が日本体操協会の塚原千恵子・女子強化本部長らから「パワハラを受けた」と語った問題は、段違い平行棒のように次々と局面が変わっている▼発端は宮川選手に対する速見佑斗コーチの暴力だった。ただし現在では、塚原本部長らがこの問題を利用して宮川選手に圧力をかけ、自らが主宰する体操クラブに引き抜こうとしたという見方もある▼また、塚原本部長の夫である塚原光男副会長が「(宮川発言は)全部ウソ」と発言したことも「一方的だ」と批判を集めた。同協会は第三者委員会の設置を決め、一段落かと思われたが、今度は夫妻が宮川選手との会話の録音を公表した▼幹部が選手との会話を同意も得ずに録音することがまず信じ難い。さらに、それを第三者委員会に提出する前にメディアに公表するとは。これでは双方の“勘違い平行棒”とも言える状態が続く心配がある▼夫妻は「高圧的な態度を取っていない」と説明。さらに「私たちの言動が宮川選手の心を深く傷つけた」とも述べた。ここまでの発言にして後は委員会の調査に任せたのならば、それなりに大人の対応になったであろうが…。体操界の指導者夫婦が素人のようにバランスを失い、「着地」をあせっている。