8月11日付

8月11日 09:02

今の新潟県、越後では、古くから「臭水[くそうず]」と呼ばれるものが採取されていた。さらにさかのぼると、日本書紀では「燃水」と表記されている。石油のことだ。性質が一目で分かる言い得て妙の呼称だった▼その石油がにわかに世界の関心の的になっている。トランプ米政権が対イラン制裁の一部を再発動するとともに、各国に対してはイラン産原油の輸入停止を求めたからだ▼日本の原油輸入に占めるイラン産の割合は5%。何かあっても余力のある国で代替でき、すぐさま供給が滞ることはないようだ。ただ、調達費用がかさんで、ガソリンなどが値上がりする可能性はある▼思えば、ガソリン価格は既に高止まり気味だ。直近の国の調査によると、レギュラーガソリンの全国平均の小売価格は11週連続で1リットル150円を超えており、県内でも、3年前の今ごろより10円以上跳ね上がっている。かつて80円台を掲げる店もあったかと思うと、隔世の感を抱かざるを得ない▼経済制裁に対するイランの反発が強まると、厄介なのはホルムズ海峡の存在だ。世界で海上輸送される原油の4割、日本の輸入量の8割がここを通る。米国の強硬姿勢に対抗して、イラン革命防衛隊が海上演習を行い封鎖能力を誇示したというから楽観はできない▼「臭水」を輸送する大動脈に、硝煙の臭いが充満することにでもなれば一大事だ。お盆の帰省ラッシュの車列が増え、ガソリンの恩恵に浴する様を目にする度にそう思う。臭いは臭いでも、きなくさいのは御免被りたい。